コンクリート技士と主任技士の違い|難易度・受験資格・試験時間を2026年度の公式データで比較
公開:2026-07-30/6つの見出しで解説
コンクリート技士とコンクリート主任技士は、どちらも公益社団法人 日本コンクリート工学会(JCI)が認定する資格で、名前も1文字しか違いません。しかし中身はかなり違います。合格率はJCI公表値で2025年度に技士31.5%・主任技士13.2%と2倍以上の開きがあり、試験時間も技士120分・主任技士180分、主任技士には小論文があります。受験資格に至っては、必要な実務経験が技士1年に対して主任技士7年です。この記事では、2026年度の受験申込みの手引きとJCIの試験結果データという一次情報だけを使って、両者の違いを1つずつ突き合わせます。3つ目の資格であるコンクリート診断士も含めた全体像はコンクリート技士・主任技士・診断士の違いと取る順番で扱っています。
一覧で比較——2026年度の公式データ
先に結論を表形式で並べます。すべてJCIの2026年度「受験申込みの手引き」と「試験結果の概況」から取った数字です。
認定する技術者像:技士=コンクリートの製造、施工、配(調)合、試験、検査、管理および設計等、日常の技術的業務を実施する能力のある技術者/主任技士=コンクリートの製造、工事および研究における計画、管理、指導等を実施する能力のある高度の技術を持った技術者(いずれも手引きp.3の「はじめに」の原文)
試験日(2026年度):どちらも11月29日(日)・着席13:10。同日同時刻に始まるため、事実上、同じ年度に両方を受験することはできません(JCIが併願を明文で禁止しているわけではなく、日程が物理的に重なるためです)
試験時間:技士 13:30〜15:30(120分)/主任技士 13:30〜16:30(180分)
出題形式:技士=四肢択一式問題のみ/主任技士=四肢択一式問題+記述式問題(小論文)
合格の要件:技士=基準点を超えること/主任技士=四肢択一式問題および記述式問題のそれぞれについて基準点を超えること(=どちらか一方が基準点未満なら不合格)
受験料(税込):技士 会員13,200円/一般14,740円 主任技士 会員15,400円/一般16,940円
必要な実務経験:技士 1年以上/主任技士 7年以上(またはコンクリート技士試験合格後2年以上)
合格率(2025年度・全国計):技士 31.5%(受験8,629人・合格2,720人)/主任技士 13.2%(受験2,766人・合格366人)
受験者数の規模(2025年度):技士 8,629人/主任技士 2,766人(技士は主任技士の約3.1倍)
上位資格との関係:技士・主任技士のいずれも、コンクリート診断士の受験資格要件の一つになる
難易度の差——合格率は5年連続で2倍以上の開き
もっとも分かりやすい違いは合格率です。JCIが公表している直近5年の全国計は次のとおりです(出典:コンクリート技士・主任技士試験 試験結果の概況(JCI)・2026年7月30日確認)。
2025年度:技士 31.5%(受験8,629人・合格2,720人)/主任技士 13.2%(受験2,766人・合格366人)
2024年度:技士 30.4%(受験8,449人・合格2,566人)/主任技士 13.5%(受験2,872人・合格388人)
2023年度:技士 31.9%(受験8,410人・合格2,681人)/主任技士 13.0%(受験2,944人・合格384人)
2022年度:技士 31.9%(受験8,672人・合格2,764人)/主任技士 13.7%(受験2,946人・合格402人)
2021年度:技士 30.6%(受験9,037人・合格2,762人)/主任技士 13.8%(受験3,018人・合格415人)
技士は5年間30.4〜31.9%、主任技士は13.0〜13.8%。どちらも年度による振れ幅が1.5ポイント以内に収まっており、難易度が安定している試験だと分かります。運や年度の当たり外れを期待する余地は小さく、裏を返せば準備量がそのまま結果に反映されやすい試験だとも言えます。
ここで注意したいのは、合格率の差がそのまま「試験の難しさの差」ではないという点です。主任技士の受験者は、実務経験7年以上か技士合格者というすでに絞り込まれた層です。その中で13%しか受からないのですから、母集団の質を考えれば体感的な難度の差は合格率の差以上に大きいと考えたほうが現実的です。
そして主任技士の難しさの核心は、合格要件にあります。手引きp.17に「四肢択一式問題および記述式問題のそれぞれについて、基準点を超えることが合格の要件となります」と書かれています。択一で高得点を取っても小論文が基準点に届かなければ不合格、という構造です。択一だけを鍛える勉強法では抜けられません。
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試験内容の違い——「理解する能力」と「応用する能力」
JCIは両試験の選考基準を手引きの表-6で公開しています。同じ項目を並べたうえで、求められる程度を書き分けているのが特徴です。ここを読むと、両者の差が言葉として見えてきます。
たとえば冒頭の「土木学会コンクリート標準示方書/JASS 5」について、技士は「内容を理解する能力」、主任技士は「内容を理解し応用する能力」とされています。1語の違いですが、決定的です。
各分野でも同様に書き分けられています。「コンクリート用材料の品質、試験および管理」は、技士が「JISに規定されている試験についての実施能力と結果の判定能力」なのに対し、主任技士は「技士の能力に加え、JISに規定されている試験方法以外の試験方法についても、これを実施し、結果を判定する能力。新材料についても、その使用の可否を判断し、使用法や注意事項を立案する能力」。
「コンクリートの配(調)合設計」は、技士が「通常使用されるコンクリートについて…所要の性質を満たす配(調)合を定めることができる能力」、主任技士が「技士の能力に加え、特殊なコンクリートについても適切な配(調)合を定めることができる能力」。
「プラントの計画管理」は、技士が「基本的計画に基づいてプラントの性能仕様を立案する能力。日常の管理検査をする能力」、主任技士が「技士の能力に加え、プラントを計画する能力。一般管理ならびに改善計画をする能力」。
「コンクリートの施工」は、技士が「施工計画に基づいて必要な施工準備を行い、施工作業を適切に指導し…」、主任技士が「技士の能力に加え、工事の諸条件や関連工事を総合的に検討して適切な工事計画を立案する能力」。
表-6のほぼ全項目が「技士の能力に加え」で始まる、という事実そのものが答えです。主任技士は技士とは別の範囲を問う試験ではなく、同じ範囲を「与えられた条件で正しく実行できるか」から「条件そのものを設計・判断できるか」へ引き上げた試験です。だから技士の知識は無駄にならず、そのうえで「なぜそうするのか」を説明できるところまで深める必要があります。
さらに主任技士には表-6の項目3として小論文があり、「与えられた課題について、実務経験を踏まえた内容の小論文を記述する能力」と定義されています。実務経験を踏まえた、という条件が付いている点が重要で、教科書的な正論を書き写すだけでは評価されにくい設計になっています。
受験資格の違い——技士を持つと実務7年が2年に縮む
受験資格の差は、実は難易度以上に受験計画を左右します。いずれも2026年9月1日時点での判定です。
コンクリート技士(B1区分):実務経験1年以上。 学歴・年齢は関係ありません。2026年度の手引きには「必要実務経験年数が1年以上に変更されました。実務経験の短縮に伴い、学歴での受験資格はなくなりました」と注記されています。実質的に、コンクリート関連の技術業務に1年従事すれば誰でも受けられる入口の資格です。
コンクリート主任技士(B1区分):実務経験7年以上、または「コンクリート技士試験合格後2年以上」。 後者は手引きの注3で「2023年度までにコンクリート技士試験に合格し、その後2年以上の実務経験を有する者」と定義されています。
ここが実務上いちばん大きな分岐点です。技士に合格していれば、必要な実務経験が7年から2年に縮みます。 技士を持たずに主任技士を狙うと、実務7年を待つか、学歴ルート(大学・高専専攻科・短大・高専の該当科目履修卒業で4年、高校卒業で5年)を使うことになります。
たとえば実務3年目の人が主任技士を目指す場合を考えてみます。技士を経由しないなら、あと4年待って7年目に受験することになります。一方、今年技士に合格すれば、2年後には主任技士の受験資格を得られます。技士を先に取ったほうが、主任技士に到達するのが2年早いという計算です。技士の受験料14,740円(一般)を「主任技士への近道の費用」と考えると、判断しやすくなるはずです。
なお主任技士のA1〜A8区分(コンクリート診断士、一級建築士、技術士(建設部門)、技術士(農業部門-農業土木または農業農村工学)、土木学会認定土木技術者、建設コンサルタンツ協会認定RCCM(鋼構造及びコンクリート)、PC工学会認定コンクリート構造診断士、1級土木施工管理技士または1級建築施工管理技士)に該当する人は、実務経験の年数要件なしで受験できます。1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士を持っている方は、監理技術者資格者証があれば主任技士をいきなり狙えるので、自分がどの区分に当たるかは必ず確認してください。
どちらを受けるべきか——3つの判断軸
ここまでの違いを踏まえて、判断の軸を3つに整理します。
軸1:受験資格を満たしているか。 これが最優先です。主任技士の受験資格(実務7年、技士合格後2年、指定資格の保有、学歴+実務4〜5年)を満たしていないなら、選択の余地なく技士からです。逆に1級土木施工管理技士などを持っていて主任技士の受験資格がある人は、技士を飛ばして主任技士から入る選択肢が現実に取れます。
軸2:小論文を書く材料が手元にあるか。 主任技士の小論文は「実務経験を踏まえた内容」が求められます。現場での判断・トラブル対応・品質改善の経験がまだ薄い段階だと、択一は解けても小論文で書くことが無い、という事態になりがちです。合格要件が「択一と記述のそれぞれで基準点」である以上、ここは避けて通れません。実務の蓄積が浅いうちは技士で足場を固めるほうが合理的です。
軸3:会社が何を評価するか。 生コン工場の品質管理責任者や施工現場の技術者として求められるのは、多くの場合まず技士です。一方、工場の技術責任者や、配(調)合の設計・特殊コンクリートの計画まで担う立場になると主任技士が要件になることがあります。社内の資格手当や昇格要件を確認してから決めると無駄がありません。
多くの人にとっての現実的な答えは「技士 → 主任技士」の順です。知識の積み上げとして自然なうえ、受験資格の面でも主任技士への到達が早くなります。技士に合格して2年の実務を積む間に、主任技士の択一(技士の応用)と小論文の材料を並行して貯めていく、というのが最も無駄のない進み方です。
そして両者とも、2026年度は11月29日(日)の同日同時刻に実施されます。JCIが併願を明文で禁止しているわけではありませんが、日程が物理的に重なる以上、事実上、同じ年に両方を受けることはできません。「とりあえず両方出願して、受かりそうなほうを受ける」という戦略は取れないので、申込みの時点でどちらかを決める必要があります。
共通していること——日程・申込み・過去問の扱い
違いばかり見てきましたが、共通点も押さえておきましょう。運用面はほぼ同じです。
日程は完全に同じ。 2026年度は申込みが7月1日(水)10:00〜8月25日(火)23:59、試験が11月29日(日)、合否確認が2027年1月15日(金)(予定)、登録受付期限が2027年2月5日(金)、資格の付与が2027年4月1日から。申込みの詳しい手順はコンクリート技士・主任技士の申込方法【2026年度】にまとめています。
申込方法も同じ。 どちらもオンライン申請のみで、スマートフォンやタブレットからは申し込めません(パソコンが必要)。試験地も同じ9か所(札幌、仙台、東京(南関東)、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄)です。
資格の維持も同じ。 登録の有効期間は合格した年度の翌年度4月1日から4年間で、4年ごとに研修を受講したうえで更新します。更新しないと有効期間の満了と同時に登録が失効し、資格を名乗れなくなります。
過去問が公開されていない点も同じ。 JCIが試験終了の約2か月後に公開するのは、合格者の受験番号と択一式問題の正解肢だけで、問題文は公開されません。掲載期間も約1か月で、過去年度のアーカイブもありません。手引きp.19(主任技士はp.20)には「試験問題の無断転載・複製・譲渡は禁止です」と明記されています。実物の過去問に当たるには市販の問題集を買う必要があり、当サイトが掲載しているのは独自作成の模擬問題です(本物の過去問ではありません)。
当サイトでは、技士・主任技士それぞれについて本番と同じ四肢択一形式の模擬問題を全問解説つきで無料公開しています。受験資格を満たしているのがどちらか分かったら、まず実際に解いてみて、択一の現在地を測るところから始めてください。
受験者によくある声
いきなり主任技士を狙うつもりでしたが、実務7年が要ると知って現実が見えました。技士に受かれば必要な実務が2年に縮むと分かって、遠回りに見える技士のほうが早いと納得しました。
— 実務3年目・どちらを受けるか迷い中
自分は手持ちの資格で主任技士の受験資格があると分かって驚きました。ただ監理技術者資格者証が必要で、講習修了証と勘違いしている人が多いらしいので、先に手元を確認しました。
— 40代・1級土木施工管理技士を保有
受かりそうなほうを直前に選ぼうと思っていたのに、技士と主任技士は同じ日の同じ時刻に始まるので物理的に無理でした。申し込む時点で腹を決めるしかないんですね。
— 30代・両方出願を考えていた
※実際の受験者によくある悩み・気づきをもとに編集部が再構成した代表的な例です。特定の個人の体験談ではありません。
よくある質問
コンクリート技士と主任技士の一番大きな違いは何ですか?
小論文(記述式問題)の有無です。技士は四肢択一式のみですが、主任技士は四肢択一式に加えて記述式問題が課され、しかも「四肢択一式問題および記述式問題のそれぞれについて、基準点を超えることが合格の要件」とされています(受験申込みの手引きp.17)。択一で高得点を取っても小論文が基準点に届かなければ不合格です。試験時間も技士120分に対して主任技士180分と1時間長くなります。
合格率はどのくらい違いますか?
JCIの公表値(全国計)で、2025年度は技士31.5%(受験8,629人・合格2,720人)、主任技士13.2%(受験2,766人・合格366人)でした。直近5年(2021〜2025年度)は技士30.4〜31.9%、主任技士13.0〜13.8%で、どちらも振れ幅の小さい安定した試験です。ただし主任技士の受験者は実務7年以上または技士合格者に絞られた層なので、母集団の質を考えると体感的な難度の差は合格率の差以上と考えたほうが現実的です。
コンクリート技士を飛ばして、いきなり主任技士を受けられますか?
受験資格を満たしていれば可能です。実務経験7年以上、学歴に応じた実務経験(大学・高専専攻科・短大・高専の該当科目履修卒業で4年、高校卒業で5年)、または指定資格の保有(コンクリート診断士、一級建築士、技術士、土木学会認定土木技術者、RCCM、PC工学会認定コンクリート構造診断士、1級土木施工管理技士・1級建築施工管理技士+監理技術者資格者証)のいずれかに当てはまれば、技士を持っていなくても受験できます。ただし技士に合格していると必要な実務経験が7年から2年に縮むため、実務が浅い方は技士から入るほうが早く到達できます。
技士と主任技士を同じ年に両方受けられますか?
事実上できません。2026年度はどちらも11月29日(日)13:30開始で、試験時間が重なります(技士120分・主任技士180分)。JCIが手引きで併願を明文で禁止しているわけではありませんが、同じ時刻に別々の会場で受験することはできないため、申込みの時点でどちらかを選ぶ必要があります。
主任技士の小論文はどんなことが問われますか?
JCIは選考基準(手引きp.18 表-6)で「与えられた課題について、実務経験を踏まえた内容の小論文を記述する能力」と定義しています。課題そのものは公開されていませんが、「実務経験を踏まえた内容」という条件が明示されている点が重要で、教科書的な一般論をなぞるだけでは評価されにくい設計です。自分が関わった現場での判断・トラブル対応・品質改善の経験を、課題に結び付けて書ける状態にしておく必要があります。
受験料はどれくらい違いますか?
2026年度は技士が会員13,200円/一般14,740円、主任技士が会員15,400円/一般16,940円(いずれも税込)で、差は2,200円です。会員価格の対象は2026年6月1日現在でJCIの会員である方(団体会員を除く)で、資格の登録者という意味ではありません。合格後に資格を名乗るには、どちらも新規登録料(会員6,600円/非会員7,700円・税込)が別途必要です。
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