コンクリート主任技士の難易度は?合格率13.2%の中身をJCIの実データで分解【2026年度】
公開:2026-07-30/7つの見出しで解説
コンクリート主任技士の合格率は、JCIの公表値で2025年度13.2%(受験2,766人・合格366人)。同じ日に実施されるコンクリート技士が31.5%なので、半分以下の水準です。ただし「13.2%」という数字だけでは、この試験の難しさは見えてきません。JCIが公表している数字を分解すると、申込者ベースの合格率は10.2%で、申込んだ人のうち833人(約4分の1)が試験当日に来ていないことが分かります。この記事では、2019〜2025年度の7年分の実データを使って、合格率の中身と難易度の構造的な理由を整理します。数字はすべてJCI「試験結果の概況」の全国計・地区別から取り、計算式も示します。
合格率は7年間13.0〜13.8%——振れ幅の小さい試験
まず全国計の実績です(出典:コンクリート技士・主任技士試験 試験結果の概況(JCI)の年度別ページ・2026年7月30日確認)。同日実施のコンクリート技士と並べます。
2025年度:主任技士 受験2,766人・合格366人・13.2%/技士 受験8,629人・合格2,720人・31.5%
2024年度:主任技士 受験2,872人・合格388人・13.5%/技士 受験8,449人・合格2,566人・30.4%
2023年度:主任技士 受験2,944人・合格384人・13.0%/技士 受験8,410人・合格2,681人・31.9%
2022年度:主任技士 受験2,946人・合格402人・13.7%/技士 受験8,672人・合格2,764人・31.9%
2021年度:主任技士 受験3,018人・合格415人・13.8%/技士 受験9,037人・合格2,762人・30.6%
2020年度:主任技士 受験2,612人・合格358人・13.7%/技士 受験8,149人・合格2,501人・30.7%
2019年度:主任技士 受験3,159人・合格406人・12.9%/技士 受験8,758人・合格2,583人・29.5%
7年間で12.9〜13.8%、幅は1ポイント未満です。技士も29.5〜31.9%に収まっており、この試験は年度の当たり外れがほとんどありません。「今年は易しかった」を期待する余地は小さく、裏を返せば準備量がそのまま結果に出る試験だと言えます。
受験者数は主任技士が2,612〜3,159人、技士が8,149〜9,037人で、技士のほうが約3倍。主任技士は受験者数も合格者数も少ない、規模の小さい試験です。
数字の裏側①:申込者の約4分の1が試験当日に来ていない
ここからが、全国計の合格率だけでは見えない部分です。JCIは申込者数も公表しています。申込者と受験者の差=当日欠席した人を計算してみます。
2025年度の主任技士は、申込3,599人に対して受験2,766人。差は833人で、欠席率23.1%です。 つまり申し込んだ人のうち約4人に1人が試験を受けていません。
7年分を並べると、主任技士の欠席率は21.5〜29.9%(2019年25.0%/2020年29.9%/2021年21.5%/2022年24.0%/2023年23.0%/2024年23.4%/2025年23.1%)。一方技士は14.9〜20.1%で、主任技士のほうが一貫して高いのが分かります。
受験料は返ってきません。手引きの表紙にも「申込み後の受験料は、如何なる理由があっても返金いたしません」と明記されています。会員でも15,400円、一般なら16,940円(税込)を払ったうえで受験しない人が、毎年800〜1,100人規模でいるということです。
なぜ主任技士のほうが欠席が多いのか。 ここはJCIが理由を公表していないので断定できませんが、構造的に説明はつきます。主任技士は小論文の準備が必要で、択一だけの技士より仕上げに時間がかかります。しかも受験者は実務経験7年以上の中堅・ベテラン層が中心で、業務が忙しく準備時間を確保しにくい立場です。「申し込んだが仕上がらなかった」で当日を迎える人が多い、という読み方は自然でしょう(あくまで推測です)。
読者にとっての示唆ははっきりしています。申し込んだ時点では、まだ4分の3の側に入れていません。 8月に申し込んで11月29日まで約4か月ありますが、この期間に手を止めた人が欠席側に回っています。逆に言えば、淡々と準備を続けるだけで上位側に入れる試験でもあります。
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無料で問題を解く数字の裏側②:申込者ベースなら合格率は10.2%
欠席者を分母に入れると、景色が変わります。合格者数 ÷ 申込者数で計算した「申込者ベースの合格率」です。
2025年度の主任技士は、合格366人 ÷ 申込3,599人 = 10.2%。 7年分では9.6〜10.8%(2019年9.6%/2020年9.6%/2021年10.8%/2022年10.4%/2023年10.0%/2024年10.3%/2025年10.2%)。受験しようと思った人のうち、資格を得るのは10人に1人という水準です。
参考に技士は申込者ベースで24.1〜27.1%。主任技士は技士の半分以下という関係は、どちらの計算でも変わりません。
どちらの数字が「本当の難易度」かという問いには意味がありません。受験ベース(13.2%)は「試験会場に座った人の中での競争率」、申込ベース(10.2%)は「受けようと決めた人の中での到達率」を表しています。自分がこれから申し込むなら、後者のほうが実感に近いはずです。
数字の裏側③:受験者はすでに絞り込まれている
13.2%という数字を「100人中13人が受かる易しめの試験」と読むと実態を見誤ります。この母集団は、受験資格の段階ですでに絞り込まれています。
主任技士を受験できるのは、2026年9月1日時点で次のいずれかに該当する人だけです(受験申込みの手引きp.9 表-1)。実務経験7年以上、またはコンクリート技士試験合格後2年以上(B1)/大学・高専専攻科・短大・高専でコンクリート技術に関する科目を履修して卒業し実務4年以上、高校卒業で実務5年以上(B2〜B6)/コンクリート診断士・一級建築士・技術士・土木学会認定土木技術者・RCCM・PC工学会認定コンクリート構造診断士・1級土木施工管理技士もしくは1級建築施工管理技士(監理技術者資格者証が必要)の保有(A1〜A8)。
つまりコンクリートの実務を数年から10年近く積んだ人、あるいは既に難関資格を持っている人が母集団です。その中で13.2%しか受からない。体感的な難度の差は、技士との合格率の開き(2倍以上)以上に大きいと考えたほうが現実的です。
この点は、これから受ける人にとって悪い話ばかりではありません。「実務経験があれば有利」という試験ではないということでもあります。周りも全員が実務経験者なので、経験の有無で差はつきません。差がつくのは、その経験を試験の言葉に翻訳できるかです。次の節がその話になります。
難易度の核心:合格要件が2つあり、片方でも欠けたら不合格
合格率の数字よりも、この試験の難しさを直接説明しているのが合格要件です。受験申込みの手引きp.17に、こう書かれています。
「四肢択一式問題および記述式問題のそれぞれについて、基準点を超えることが合格の要件となります」
「それぞれについて」がこの試験の設計です。択一で高得点を取っても、記述式(小論文)が基準点に届かなければ不合格。逆もまた同じで、総合点で補うことはできません。 なお具体的な基準点は公表されていません。
コンクリート技士の合格要件は「基準点を超えること」の一行だけで、択一のみ(120分)。主任技士は択一+記述式で180分。試験時間が1時間長いのは、この記述式のぶんです。
そして小論文に求められるのは、知識ではありません。選考基準(手引きp.18 表-6の項目3)は「与えられた課題について、実務経験を踏まえた内容の小論文を記述する能力」と定義しています。教科書的な正論を書き写しても評価されにくい設計です。
択一のほうも「知識を思い出す」試験ではありません。表-6の各項目はほぼ全てが「技士の能力に加え」で始まり、求められる能力は「立案する」「計画する」「総合的に判断する」「異常事態に対して適切な処置を講じうる」と書かれています。技士が「与えられた条件で正しく実行できるか」を問うのに対し、主任技士は「条件そのものを設計・判断できるか」を問う——これが13%台という数字の中身です。
つまり難易度の実体は、①択一を応用レベルまで引き上げる/②小論文で経験を言語化する、という性質の違う2つを両方仕上げなければならないことにあります。どちらか一方に偏った勉強では、合格要件の構造上、通りません。
では何から手を付けるか——最初の壁は「過去問が売っていないように見える」こと
難易度が分かったら、次は対策です。独学で始める人が最初にぶつかるのは、勉強法ではなく教材が見つからないことです。
JCIは試験問題を公開していません。 公式サイトに出るのは、試験終了の約2か月後から約1か月間だけ掲載される択一式問題の「正解肢」(正解の番号)のみで、問題文は載りません。過去年度のアーカイブもなく、小論文の課題文は正解肢すら公開されません。手引きp.20には「試験問題の無断転載・複製・譲渡は禁止です」と明記されています。
したがって実物の過去問に当たる方法は、市販の問題集を買うことだけです。2026年7月時点で刊行されているのは次の2冊(いずれも出版社サイトで書名・発行年月・価格・ISBNを確認済み)。
技報堂出版『コンクリート主任技士試験問題と解説 2026年版』(2026年6月・A5判398頁/3,850円/ISBN 978-4-7655-1905-2)。過去10年間の全問題と解答、直近5年は分野別に分類。小論文の模範記述例つき。
建築資料研究社『コンクリート主任技士 2026年版』(2026年3月・B5判250頁/4,400円/ISBN 978-4-8683-4047-8)。四択は過去10年の全問、記述式は過去13年分を解説。
必ず最新年版を買ってください。 選考基準に「試験日からさかのぼって1年以内に制定されたJISおよび改正された基準類(JIS、コンクリート標準示方書、JASS 5等)中の変更事項については、出題の対象としません」とあり(手引きp.17)、裏を返せば1年より前の改正は出題対象です。旧版は改正前の記述を含みうるので、中古で安く買うのは割に合いません。
優先順位はこうなります。①択一で現在地を測る(当サイトの無料模擬問題が使えます。ただし独自作成で本物の過去問ではありません)。②実務経験の棚卸しを早めに始める——小論文は書き方より先に「書く材料」が必要で、これは机に向かわなくてもできます。③最新年版の問題集で本番の形に慣れる。
具体的な進め方は記事を分けています。過去問の入手経路と試験日から逆算した4か月スケジュールはコンクリート主任技士に独学で合格する勉強法、小論文の答案の型・減点パターンはコンクリート主任技士の小論文対策、技士とどちらを受けるべきかはコンクリート技士と主任技士の違い、2026年度の申込手順はコンクリート技士・主任技士の申込方法にまとめました。
補足:会場別でも合格率に差があるが、会場選びの参考にはならない
JCIは地区別の結果も公表しています。ここは誤読されやすいので、先に結論を書きます。合格率の高い会場を選んでも有利にはなりません。 試験問題も選考基準も全国同一で、会場によって採点が変わる仕組みはありません。そのうえで数字を見てください。
2025年度の主任技士:東京16.3%(受験941人)/大阪15.0%(380人)/福岡14.0%(349人)/名古屋13.3%(323人)/沖縄12.7%(63人)/広島12.1%(124人)/高松10.2%(127人)/札幌6.5%(168人)/仙台5.8%(291人)。全国計は13.2%。
2024年度の主任技士:東京18.5%(993人)/札幌17.0%(176人)/大阪14.3%(391人)/広島13.4%(127人)/名古屋10.0%(341人)/福岡9.0%(332人)/仙台8.3%(303人)/高松6.8%(147人)/沖縄3.2%(62人)。全国計は13.5%。
並べると分かるのが、小規模な会場は年によって激しく振れることです。沖縄は2024年度3.2%(62人中2人)→2025年度12.7%(63人中8人)、札幌は2024年度17.0%→2025年度6.5%。受験者が60〜200人規模の会場では、合格者が数人動くだけで合格率が大きく変わります。この振れ幅を「その地域は難しい/易しい」と読むのは誤りです。
比較的安定しているのは受験者数が多い会場で、東京は2年連続で最高(18.5%→16.3%)でした。理由は公表されていません。 受験者層の違い(大都市圏に技術系人材や研修体制の整った企業が集まる、など)を反映している可能性はありますが、これは推測であり、JCIがそう説明しているわけではありません。
実務的な結論は1つだけです。希望試験地は「自分が確実に当日たどり着ける場所」で選んでください。 手引きには、会場確保の状況によっては近隣の都道府県の会場を案内する場合があること、そして申込み後の会場変更はできないことが明記されています。加えて「公共交通機関の運行停止、遅延であっても試験開始後30分を過ぎた場合は入室できず受験できません。また、当該者に対しての再受験は実施しません」(手引きp.19 ⑧)。合格率の小数点より、この一文のほうが重要です。
受験者によくある声
13%台と聞いて身構えていましたが、周りも全員が実務7年以上の人たちだと気づいて意味が変わりました。経験があるから有利、という試験ではないんですね。
— 40代・受験を検討中
申込んだ人の4分の1が当日来ていないと知って、逆に気が楽になりました。派手なことをせず4か月続けるだけで上位側に入れる、と考えて手を動かしています。
— 30代・申込み済み
1回目は択一の点数だけ気にしていて、小論文で足りずに落ちました。それぞれで基準点が要ると最初から分かっていれば、時間の配り方を変えていたと思います。
— 50代・2回目の受験
※実際の受験者によくある悩み・気づきをもとに編集部が再構成した代表的な例です。特定の個人の体験談ではありません。
よくある質問
コンクリート主任技士の合格率はどのくらいですか?
JCIの公表値(全国計)で、2025年度は受験2,766人・合格366人の13.2%でした。直近7年(2019〜2025年度)は12.9〜13.8%で、年度による振れ幅が1ポイント未満の安定した試験です。同じ日に実施されるコンクリート技士は2025年度31.5%(直近7年29.5〜31.9%)なので、主任技士はその半分以下の水準になります(出典:JCI「コンクリート技士・主任技士試験 試験結果の概況」の年度別ページ・2026年7月30日確認)。
申込者ベースの合格率はどのくらいですか?
2025年度は合格366人÷申込3,599人で10.2%です。直近7年では9.6〜10.8%。受験者ベースの13.2%より低くなるのは、申込者3,599人に対して受験者が2,766人で、833人(23.1%)が当日受験していないためです。受験ベースは「会場に座った人の中での競争率」、申込ベースは「受けようと決めた人の中での到達率」を表しており、これから申し込む方には後者のほうが実感に近い数字です。
なぜ申込んだのに受験しない人が多いのですか?
理由はJCIが公表していないため断定できません。ただし数字としては、主任技士の欠席率は直近7年で21.5〜29.9%、コンクリート技士は14.9〜20.1%で、主任技士のほうが一貫して高いことが確認できます。構造的には、主任技士は小論文の準備が必要で仕上げに時間がかかること、受験者が実務経験7年以上の中堅・ベテラン層中心で業務が多忙なことが背景として考えられます(これは推測です)。受験料(会員15,400円/一般16,940円・税込)は理由を問わず返金されません。
合格率13.2%は、100人受けて13人受かるという意味では易しいほうですか?
母集団を考えると、その読み方は実態と離れます。主任技士を受験できるのは、実務経験7年以上またはコンクリート技士合格後2年以上、学歴に応じた実務4〜5年、あるいはコンクリート診断士・一級建築士・技術士・1級土木施工管理技士などの指定資格保有者に限られます(受験申込みの手引きp.9 表-1)。すでに実務を数年から10年近く積んだ層の中で13.2%しか合格しないため、体感的な難度は技士との合格率の開き以上に大きいと考えたほうが現実的です。
択一が得意なら合格できますか?
できません。受験申込みの手引きp.17に「四肢択一式問題および記述式問題のそれぞれについて、基準点を超えることが合格の要件となります」と明記されています。択一で高得点でも小論文が基準点に届かなければ不合格で、総合点で補えません(具体的な基準点は非公表)。加えて択一自体も、選考基準(表-6)がほぼ全項目で「技士の能力に加え」として「立案する」「計画する」「総合的に判断する」能力を求めており、知識の再現では足りない設計です。
合格率の高い試験地で受けたほうが有利ですか?
有利にはなりません。試験問題も選考基準も全国同一で、会場で採点が変わる仕組みはありません。地区別の合格率には差がありますが(2025年度は仙台5.8%〜東京16.3%)、受験者60〜300人規模の会場は合格者が数人動くだけで大きく振れます(沖縄は2024年度3.2%→2025年度12.7%、札幌は17.0%→6.5%)。希望試験地は当日確実にたどり着ける場所で選んでください。申込み後の会場変更はできず、交通機関の遅延でも試験開始後30分を過ぎると受験できず再受験も実施されません(手引きp.19)。
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