コンクリート技士の配合計算|絶対容積法と現場配合の補正を例題で解く
公開:2026-09-12/7つの見出しで解説
コンクリート技士の配合計算は、知識問題と違って「覚えているかどうか」では差がつきません。手順が決まっているので、一度手順を固めてしまえば、数字が変わっても同じ道筋で解けます。逆に言えば、手順があいまいなまま本番で出会うと、その場で組み立て直すことになり時間を失います。この記事では、単位セメント量の算出から、絶対容積法による骨材量の決定、示方配合を現場配合に直す補正まで、1本の流れとして通しで解きます。掲載した数値はすべて当サイトで検算し、合計絶対容積と単位容積質量が成り立つことを確認したものです。なお、配合計算が本番で何問出るかについては、日本コンクリート工学会(JCI)が試験問題も分野別の配点も公表していないため、当サイトでは数字を示しません。勉強法全体の組み立てはコンクリート技士に独学で合格する勉強法にまとめてあります。
配合計算の正体は「1m³=1000Lの箱を、5つの材料で埋める」こと
配合計算でつまずく人の多くは、式を「覚えるもの」として扱っています。しかし配合計算に出てくる式は、ほぼすべてたった1つの事実から出てきます。それは、コンクリート1m³の中身は水・セメント・細骨材・粗骨材・空気の5つだけで、その体積の合計がちょうど1m³(=1000L)になるという事実です。
この考え方を絶対容積法と呼びます。絶対容積とは、材料そのものが占める正味の体積のこと。骨材を袋に詰めたときの見かけの体積(粒と粒のすきまを含む)ではなく、粒そのものの体積です。式にすると次の1行だけです。
水の絶対容積 + セメントの絶対容積 + 細骨材の絶対容積 + 粗骨材の絶対容積 + 空気の容積 = 1000L
絶対容積は「質量 ÷ 密度」で出ます。ここで水の密度は1.00g/cm³なので、単位水量175kg/m³はそのまま175Lです。水だけ換算が要らないので、まず水から書き始めると混乱しません。空気は質量ゼロですが体積は持つので、空気量4.5%なら1000×0.045=45Lとして、他の材料と同じように箱を占めます。空気の分を引き忘れるのが、この計算で最も多いミスです。
もうひとつ、この分野の定義で必ず引っかかるのが細骨材率(s/a)です。s/aは質量の比ではなく、骨材全体の絶対容積に対する細骨材の絶対容積の百分率です。質量比だと思って計算すると、密度の違う細骨材と粗骨材で答えがずれます。計算に入る前に、この1点だけは確認しておいてください。
手順1:水セメント比から単位セメント量を出す
最初に決まるのは水セメント比(W/C)と単位水量(W)です。どちらも強度・耐久性・施工性の要求から先に決まる数字で、問題文では条件として与えられます。ここから単位セメント量(C)を出します。
水セメント比は水とセメントの質量の比です。W/C=W÷Cですから、Cについて解けば C=W÷(W/C) になります。割り算の向きを覚えるのではなく、「比の定義を移項しただけ」と理解しておけば、本番で迷いません。
例題で確認します。水セメント比50%、単位水量175kg/m³とすると、C=175÷0.50=350kg/m³です。検算は簡単で、175÷350=0.50=50%と元に戻ることを確認すれば済みます。
ここでの注意点は単位の扱いです。水セメント比は%で与えられるので、必ず小数に直してから割ります。50で割ってしまうと175÷50=3.5となり、桁が2つずれます。選択肢に3.5のような値が並ぶことは通常ないので気づけますが、焦っていると見落とします。%は100で割るを、手順の中に固定しておいてください。
なお、水セメント比を小さくすると強度・耐久性は有利になりますが、同じ単位水量ならセメント量が増えるため、水和熱・乾燥収縮・コストの面で不利になります。計算問題と知識問題は、この点でつながっています。
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無料で問題を解く手順2:絶対容積法で細骨材量と粗骨材量を出す(例題・検算つき)
単位セメント量が出たら、残った体積を骨材で埋めます。ここが配合計算の本体です。条件を次のように置きます。いずれも問題文で与えられる値です。
水セメント比50%/単位水量175kg/m³/空気量4.5%/細骨材率44%/セメントの密度3.15g/cm³/細骨材の表乾密度2.60g/cm³/粗骨材の表乾密度2.65g/cm³(普通ポルトランドセメントの密度は3.15g/cm³前後とされますが、規格で決まった値ではなく問題文で与えられます)
①水の絶対容積:175kg ÷ 1.00 = 175L
②セメントの絶対容積:C=175÷0.50=350kg。350 ÷ 3.15 = 111.1L
③空気の容積:1000 × 4.5 ÷ 100 = 45L
④骨材の絶対容積の合計:1000 − 175 − 111.1 − 45 = 668.9L
⑤細骨材の絶対容積:668.9 × 0.44 = 294.3L / 粗骨材の絶対容積:668.9 − 294.3 = 374.6L
⑥質量に戻す:細骨材 294.3 × 2.60 = 765kg/m³ / 粗骨材 374.6 × 2.65 = 993kg/m³
答えが出たら、2つの検算を必ず通してください。ひとつは絶対容積の合計が1000Lに戻るか。175 + 350÷3.15 + 765÷2.60 + 993÷2.65 + 45 = 1000.06Lとなり、丸めの分だけ0.06Lずれるだけで成立しています。もうひとつは単位容積質量が常識的な値か。(175+350+765+993) ÷ 1000 = 2.283t/m³で、普通コンクリートのおよそ2.2〜2.4t/m³に収まっています。どちらかが大きく外れていたら、どこかで密度を取り違えたか空気を引き忘れています。この2つの検算は10秒で終わり、計算ミスをほぼ確実に捕まえます。
分野ごとの演習をしたい場合は、コンクリート技士「配合設計」対策に配合設計の模擬問題をまとめてあります。
手順3:示方配合を現場配合に直す(表面水の補正)
ここまでで求めた配合を示方配合と呼びます。示方配合は骨材が表面乾燥飽水状態(表乾状態)であることを前提にした配合です。表乾状態とは、骨材の内部の空隙は水で満たされているが、表面には水が付いていない状態のこと。計算上の基準としては便利ですが、現場のストックヤードに積まれた骨材が、たまたまこの状態になっていることはまずありません。
実際の細骨材は表面が濡れています。この、表乾状態を超えて表面に付着している水の割合が表面水率です。吸水率(絶乾状態から表乾状態までに骨材が吸い込む水の割合)とは別物で、この2つの取り違えは頻出の引っかけです。表面水は「余分に付いている水」なので、放っておくとその分だけコンクリートの水が増え、水セメント比が上がって強度が落ちます。そこで現場では、骨材の計量値を増やし、その増えた分だけ水の計量値を減らします。
手順2で出した示方配合(細骨材765kg/m³・粗骨材993kg/m³・単位水量175kg/m³)に、細骨材の表面水率3.0%、粗骨材の表面水率0.5%という条件を足して解きます。
①骨材の計量値:細骨材 765 × 1.03 = 788kg / 粗骨材 993 × 1.005 = 998kg
②骨材が持ち込む水の量:765 × 0.03 + 993 × 0.005 = 22.95 + 4.97 = 27.9kg
③計量する水:175 − 27.9 = 147.1kg
検算は2通りできます。147.1 + 27.9 = 175で全水量が示方配合どおりに戻ること、そして788 ÷ 1.03 = 765.1、998 ÷ 1.005 = 993.0と表乾換算で元の値に戻ることです。
この手順で押さえるべき考え方は1つだけです。コンクリートに入る水の総量は変わらない。変わるのは「水として計量する分」と「骨材にくっついて入ってくる分」の内訳だけです。ここを掴んでいれば、足すのか引くのかで迷うことはありません。骨材は増やす(表面水の分だけ重くなっているから)、水は減らす(その分がすでに入っているから)。これだけです。
手順4:5mmふるいによる粒度の補正
表面水とあわせて出てくるのが粒度の補正です。示方配合では、細骨材は5mmふるいを全部通り、粗骨材は5mmふるいに全部とどまる、という前提で計算します。ところが現場の骨材は細骨材の中に5mmを超える粒が混ざり、粗骨材の中に5mm以下の粒が混ざっています。そのまま計量すると、実際の細骨材率が狙いからずれます。
記号を決めます。示方配合の細骨材量をS、粗骨材量をG、現場の細骨材に含まれる5mm以上の割合をa%、現場の粗骨材に含まれる5mm以下の割合をb%とし、実際に計量する現場の細骨材量をx、粗骨材量をyとします。求める式はこれです。
x = {100S − b(S+G)} ÷ {100 −(a+b)} / y = {100G − a(S+G)} ÷ {100 −(a+b)}
この式は丸暗記しなくても導けます。5mm以下になる材料の合計がSに、5mm以上になる材料の合計がGに一致すればよい、というだけだからです。現場の細骨材xのうち5mm以下は(100−a)%、現場の粗骨材yのうち5mm以下はb%。この2つを足したものがS。同じように5mm以上どうしを足したものがG。連立方程式を解くと上の式になります。当サイトでは条件をランダムに変えた20,000通りでこの関係が成り立つことを確認しました(2026年9月12日)。
例題です。示方配合が細骨材800kg/m³・粗骨材1,000kg/m³、現場の細骨材に5mm以上が2.0%、現場の粗骨材に5mm以下が4.0%含まれるとします。
x =(100×800 − 4×1,800)÷(100−6)=(80,000 − 7,200)÷94 = 約774kg
y =(100×1,000 − 2×1,800)÷(100−6)=(100,000 − 3,600)÷94 = 約1,026kg
検算は3つあります。x+y = 1,800 = S+G(骨材の総量は変わらない)、774×0.98 + 1,026×0.04 = 800(5mm以下の合計が示方配合の細骨材量に一致)、774×0.02 + 1,026×0.96 = 1,000(5mm以上の合計が粗骨材量に一致)。3つとも合えば、この計算は正しいと判断できます。
実務では粒度の補正を先に行い、そのうえで補正後の骨材量に対して表面水の補正をかけます。試験問題では片方だけを問われることが多いので、まずはそれぞれを単独で確実に解けるようにしてから、両方が絡む問題に進むのが効率的です。
本番で計算ミスを減らす——電卓の条件と検算の順番
解法が分かっていても、本番の条件を知らないと計算で損をします。事実から確認します。コンクリート技士の試験は2026年度は11月29日(日)13:30〜15:30の120分、四肢択一式のマークシートのみで、記述式はありません(出典:JCI「2026年度 コンクリート技士 受験申込みの手引き」)。
電卓については条件があります。手引きは四則演算程度の電卓のみを認めており、関数電卓は使用不可、記憶・辞書・音が出る機能やプログラム機能のあるものも不可としています。手引きは机上に置けるものを列挙したうえで「記載がない物は使用不可」と明記しているため、当サイトでは独自の判断を足しません。最終的な可否は必ず受験票とJCI公式でご確認ください(コンクリート技士試験(日本コンクリート工学会))。当日の持ち物の全体像はコンクリート技士の試験ガイドにまとめてあります。
そのうえで、本番用の手順を固定しておきます。①答えの単位を先に書く(kg/m³なのかLなのか%なのか)。②与条件を縦に並べる。%は最初に小数へ直しておく。③水→セメント→空気→骨材の順に、絶対容積を1行ずつ書く。④出た答えを検算する。この順番を崩さないことが、時間を守る最短の方法です。
検算は前述の2つ、合計絶対容積が1000Lに戻るかと単位容積質量が2.2〜2.4t/m³に収まるかで足ります。慣れれば10秒です。特に後者は、密度の取り違えや桁ミスをほぼ確実に捕まえます。たとえば細骨材と粗骨材の密度を入れ替えてしまっても、合計絶対容積の検算だけでは気づけますが、単位容積質量まで見ると異常が一目で分かります。
時間配分についてもう一点。JCIは出題数も合格基準点も公表していません。したがって「配合計算は何問だから何分かけてよい」という設計は、そもそも根拠が作れません。現実的なのは、配合計算を「詰まらずに解ける状態」まで持っていって、時間を使わずに通過するという方針です。考え込む時間がゼロに近づけば、配点が何点であっても損をしません。
手を動かす場所——無料の模擬問題で手順を固める
配合計算は、読んで分かったつもりになりやすい分野です。式を見ないで最後まで書けるところまで持っていかないと、本番では止まります。目安として、同じ手順を数字を変えて3回、間を空けて解いてみてください。3回目に手が止まらなければ定着しています。
当サイトでは、コンクリート技士の模擬問題を材料・配合設計・製造・施工・品質管理・各種コンクリートの6分野で無料公開しています。JCIの受験申込みの手引き(p.19)に「試験問題の無断転載・複製・譲渡は禁止です」と明記されているため、当サイトに本物の過去問は1問もありません。掲載しているのはすべて独自作成の模擬問題で、全問に解説が付いています。配合設計の分野には、単位セメント量、絶対容積法による骨材量、表面水率の補正、細骨材率の定義といった、この記事で扱ったパターンの問題を収録しています。コンクリート技士の問題を解くからすぐ始められます(登録不要・全問無料)。
解いたあとの使い方が重要です。間違えた問題は間違えた問題に自動でたまるので、正解の番号ではなく「どの手順で間違えたか」を確認してください。配合計算のミスは、だいたい次の4つのどれかに分類できます。①%を小数に直し忘れた、②空気の容積を引き忘れた、③s/aを質量比として計算した、④表面水の補正で足し引きを逆にした。自分がどれをやりやすいかが分かれば、本番のチェック項目はその1つだけで済みます。
分野別の到達度は弱点分析に出ます。配合設計が7割に届いていないなら、まずこの記事の手順2と手順3をもう一度なぞってから解き直すのが近道です。知識問題側の対策はコンクリート技士の頻出分野と過去問の解き方に、難易度と合格率の実データはコンクリート技士の難易度・合格率は?にまとめてあります。
よくある質問
コンクリート技士の試験で、配合計算は何問出ますか?
日本コンクリート工学会(JCI)は試験問題そのものを公開しておらず、分野別の配点や出題数も公表していません。そのため「配合計算は毎年◯問出る」という数字を、当サイトは根拠をもって示せません。公式サイトに掲載されるのは合格発表と同時に出る択一式問題の正解肢だけで、掲載期間は約1か月、問題文は載りません。出題数が読めない以上、配合計算は「捨てる/捨てない」を決める対象ではなく、手順を固めて短時間で通過できる状態にしておくのが現実的です。
絶対容積法の計算で、いちばん多いミスは何ですか?
空気の容積を引き忘れることです。空気は質量がゼロなので存在を忘れがちですが、体積は確実に占めます。空気量4.5%なら1000×0.045=45Lを差し引く必要があり、これを忘れると骨材量が45L分(およそ115〜120kg)多く出ます。次に多いのが、細骨材率(s/a)を質量比として計算するミスです。s/aは骨材全体の絶対容積に対する細骨材の絶対容積の百分率で、質量比ではありません。
計算が合っているかを、その場で確かめる方法はありますか?
2つの検算が使えます。1つ目は、水・セメント・細骨材・粗骨材の絶対容積(質量÷密度)と空気の容積を足して1000Lに戻るかを見る方法です。2つ目は、単位容積質量=(W+C+S+G)÷1000が2.2〜2.4t/m³前後に収まるかを見る方法です。この記事の例題では前者が1000.06L(丸め誤差のみ)、後者が2.283t/m³で、どちらも成立しています。密度の取り違えや桁の間違いは、この2つでほぼ捕まえられます。
示方配合と現場配合は何が違うのですか?
示方配合は骨材が表面乾燥飽水(表乾)状態であることを前提にした、計算上の配合です。現場配合は、実際の骨材が持っている表面水と、5mmふるいで分けたときの粒度のずれを補正して、実際に計量する値に直したものです。表面水がある分だけ骨材の計量値は増え、その増えた分だけ水の計量値を減らします。コンクリートに入る水の総量そのものは変わらず、変わるのは内訳だけ、と理解しておくと足し引きで迷いません。
吸水率と表面水率はどう違いますか?
吸水率は、絶乾状態の骨材が表乾状態になるまでに内部へ吸い込む水の割合で、骨材そのものの性質です。表面水率は、表乾状態を超えて骨材の表面に付着している水の割合で、その日の骨材の濡れ具合によって変わります。現場配合の補正で使うのは表面水率のほうです。両者を取り違えると補正の向きごと間違えるため、定義で区別できるようにしておいてください。
試験で関数電卓は使えますか?
JCIの2026年度 受験申込みの手引きでは、認められているのは四則演算程度の電卓のみで、関数電卓は使用できません。記憶・辞書・音が出る機能やプログラム機能のあるものも不可とされています。手引きは机上に置けるものを列挙したうえで「記載がない物は使用不可」と明記しているため、記載にない機器の持ち込みは避けてください。最終的な可否は受験票とJCI公式サイトで必ずご確認ください。
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