下水道技術検定3種「工場排水」対策
工場・事業場排水が下水道に与える影響、除害施設の機能、排除基準(有害物質・生活環境項目)、pH調整・凝集沈殿・重金属/シアンの処理、特定事業場の規制を扱う科目です。
収録問題数:32問(解説つき)/最終更新:2026年8月
「工場排水」で実際に問われること
収録している32問から20問を、本番と同じ四肢択一の形で抜粋しました。各問の「正解と解説」を開くと、正解と、解答の根拠になる要点が読めます。
例1工場・事業場排水が終末処理場に与える影響として、最も不適切なものはどれか。
- 1.強酸・強アルカリ排水は管きょやコンクリート構造物を腐食させる
- 2.油分を多量に含む排水は反応タンクの酸素移動を妨げ処理機能を阻害する
- 3.重金属やシアンなどの有害物質は活性汚泥の微生物に毒性を及ぼす
- 4.高温の排水は活性汚泥の微生物活性を高めるため処理に好影響を与える
▶正解と解説
正解:4
高温排水は微生物の活性を一時的に上げることはあっても、生物処理に適した温度域を超えると微生物を死滅させ処理機能を阻害するため好影響とはいえない。酸・アルカリ・油分・有害物質はいずれも処理機能阻害や施設腐食の要因となる。
例2除害施設に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.除害施設は終末処理場の流入渠に設置する公共施設である
- 2.除害施設は工場・事業場が下水道へ排除する前に水質を基準内に処理する施設である
- 3.除害施設は下水道管理者が各家庭ごとに設置する施設である
- 4.除害施設は処理水を河川へ放流するための消毒施設である
▶正解と解説
正解:2
除害施設は、特定事業場などが下水道の機能を妨げたり施設を損傷させる排水を、公共下水道へ排除する前に基準値以下まで処理するために設置者自らが設ける施設である。終末処理場や家庭に設置する公共施設ではない。
例3下水道への排除基準のうち、有害物質に該当しないものはどれか。
- 1.カドミウム及びその化合物
- 2.シアン化合物
- 3.ノルマルヘキサン抽出物質(油分)
- 4.六価クロム化合物
▶正解と解説
正解:3
ノルマルヘキサン抽出物質(油分)は生活環境項目に区分される。カドミウム・シアン・六価クロムは人の健康に係る被害を生ずるおそれのある有害物質に区分される。
例4pH調整(中和)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.酸性排水の中和には消石灰や水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤を用いる
- 2.アルカリ性排水の中和には硫酸や塩酸などの酸を用いる
- 3.中和処理ではpH計により連続的に薬注量を制御することが多い
- 4.中和は重金属を完全に分解して無害化する処理である
▶正解と解説
正解:4
中和はpHを基準域に調整する処理であり、重金属を分解して無害化するものではない。重金属は中和によって水酸化物として沈殿除去されるが、分解されるわけではない。
例5凝集沈殿処理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.凝集沈殿は溶解性のBODを微生物で分解する生物処理である
- 2.凝集剤を添加して微細な懸濁物質をフロック化し沈降分離する処理である
- 3.凝集沈殿はpHの影響を受けないため調整は不要である
- 4.凝集剤には主に活性炭が用いられる
▶正解と解説
正解:2
凝集沈殿はアルミニウム塩や鉄塩などの凝集剤で微細懸濁物質を集めて大きなフロックとし、沈降分離する物理化学処理である。凝集には最適pH域があり調整が必要で、活性炭は吸着処理に用いる薬剤である。
例6油分を含む排水の処理に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.浮上分離は油と水の比重差を利用して油を浮上させ分離する
- 2.油水分離槽は油分を含む排水の前処理として用いられる
- 3.乳化した油分は単純な重力分離だけでは除去しにくい
- 4.ノルマルヘキサン抽出物質は揮発するため処理は不要である
▶正解と解説
正解:4
ノルマルヘキサン抽出物質(油分)は揮発による自然減を期待できず、放置すると管きょの閉塞や処理機能阻害を招くため油水分離などの処理が必要である。乳化油は浮上分離しにくく、凝集等の追加処理を要する。
例7重金属を含む排水の処理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.多くの重金属はpHをアルカリ側に調整すると水酸化物として沈殿する
- 2.重金属は塩素消毒により分解され無害化される
- 3.重金属は曝気により大気中へ揮散させて除去する
- 4.重金属は生物処理の活性汚泥で容易に分解できる
▶正解と解説
正解:1
多くの重金属イオンはアルカリ側で溶解度が低下し、水酸化物として沈殿するため凝集沈殿で除去される。重金属は元素であり塩素消毒や生物処理で分解されず、揮散もしない。
例8特定事業場・特定施設に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.特定施設は水質汚濁防止法等で定められた有害物質や汚水を排出する施設である
- 2.特定施設を設置する工場・事業場を特定事業場という
- 3.特定事業場には水質測定や記録の義務が課される場合がある
- 4.特定施設の設置に届出は一切不要である
▶正解と解説
正解:4
特定施設の設置・変更には届出義務がある。特定施設は法令で定められた施設で、これを有する事業場が特定事業場となり、水質の測定・記録などの義務が課される。
例9硝化(生物学的窒素除去のアンモニア酸化)に対する有害物質の影響として、最も適切なものはどれか。
- 1.硝化菌は有機物分解菌に比べて有害物質に強く影響を受けにくい
- 2.重金属やシアンなどの有害物質は硝化菌に毒性を示し硝化を阻害する
- 3.硝化阻害が起きるとアンモニア性窒素はすべて除去される
- 4.硝化は化学反応であり微生物の影響を受けない
▶正解と解説
正解:2
硝化菌(独立栄養細菌)は増殖が遅く、重金属・シアン・有害有機物などに敏感で、流入すると硝化が阻害されアンモニア性窒素が処理水に残留する。硝化は微生物による生物反応である。
例10硫化水素の発生と腐食に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.硫酸塩を含む排水が嫌気状態になると硫化水素が発生しやすい
- 2.発生した硫化水素は管頂部で硫酸となりコンクリートを腐食させる
- 3.硫化水素は無臭で人体に無害な気体である
- 4.硫化水素対策として曝気や薬剤注入が行われる
▶正解と解説
正解:3
硫化水素は腐卵臭をもち、高濃度では人体に有毒で作業環境を悪化させる。嫌気下で硫酸塩還元菌により生成し、気相中で硫黄酸化細菌により硫酸となってコンクリートを腐食させる。
例11排除基準項目のうち、生活環境項目に区分されるものとして、最も適切なものはどれか。
- 1.水銀及びその化合物
- 2.BOD(生物化学的酸素要求量)
- 3.ヒ素及びその化合物
- 4.鉛及びその化合物
▶正解と解説
正解:2
BODは生活環境項目に区分される。水銀・ヒ素・鉛はいずれも人の健康に係る有害物質に区分される。
例12工場排水の水質測定・監視に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.pHは連続測定計により常時監視されることが多い
- 2.有害物質は定期的な採水・分析により管理する
- 3.異常排水の早期発見には監視・測定体制の整備が有効である
- 4.一度基準内であれば以後の水質測定は不要となる
▶正解と解説
正解:4
排水水質は操業状況により変動するため、継続的な測定・監視が必要である。pHの連続監視や有害物質の定期分析により異常排水を早期に発見し対応する。
例13よう素消費量に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.排水中の油分の量を示す指標である
- 2.硫化物など還元性物質の量を示す指標で、過大だと施設腐食等の原因となる
- 3.排水中の重金属総量を示す指標である
- 4.排水の酸性度を示す指標である
▶正解と解説
正解:2
よう素消費量は硫化物や亜硫酸塩などの還元性物質の量を表す指標で、過大な還元性物質は硫化水素発生や施設腐食、処理機能阻害につながるため排除基準が定められている。
例14温度(熱)の高い排水が下水道に与える影響として、最も不適切なものはどれか。
- 1.管きょ内の生物活動を変化させ硫化水素の発生を促すことがある
- 2.高温は管きょ材料や継手に悪影響を及ぼすことがある
- 3.高温排水は処理場の生物処理の温度環境を乱すことがある
- 4.高温排水は冷却の必要がなく常にそのまま排除してよい
▶正解と解説
正解:4
高温排水は管きょの損傷や硫化水素発生の促進、生物処理機能への悪影響を招くため、排除基準(一般に45度未満等)が定められ必要に応じ冷却する。そのまま排除してよいとはいえない。
例15シアンを含む排水の処理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.シアンはアルカリ性で塩素により酸化分解(アルカリ塩素法)して処理できる
- 2.シアンは中和するだけで無害化できる
- 3.シアンは活性汚泥で容易に分解されるため前処理は不要である
- 4.シアンは油水分離により除去できる
▶正解と解説
正解:1
シアン排水はアルカリ性条件下で次亜塩素酸ソーダ等により酸化分解するアルカリ塩素法が代表的処理である。中和や油水分離では除去できず、毒性が強いため放流前に確実な分解処理が必要である。
例16除害施設の維持管理に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.薬品の補充や薬注ポンプの作動を定期的に点検する
- 2.発生した汚泥は適切に脱水・処分する
- 3.pH計や水質計器は校正を行い精度を保つ
- 4.除害施設は無人運転が可能なため点検や記録は不要である
▶正解と解説
正解:4
除害施設は薬注設備・計器・汚泥処理などの維持管理を要し、定期点検・記録・計器校正が不可欠である。点検を怠ると処理不良により基準超過排水が下水道へ流入するおそれがある。
例17六価クロムを含む排水の処理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.六価クロムは酸化してそのまま沈殿させる
- 2.六価クロムを三価クロムに還元した後、アルカリで水酸化物として沈殿除去する
- 3.六価クロムは塩素消毒のみで除去できる
- 4.六価クロムは曝気により揮散除去する
▶正解と解説
正解:2
六価クロムは毒性が強く溶解性が高いため、酸性下で還元剤により三価クロムへ還元し、その後アルカリで水酸化クロムとして沈殿除去する(還元凝集沈殿法)。揮散や塩素消毒では除去できない。
例18工場排水中のSS(浮遊物質)が下水道に与える影響として、最も不適切なものはどれか。
- 1.管きょ内に堆積して閉塞や流下能力の低下を招くことがある
- 2.沈殿池の負荷を増大させ処理機能に影響する
- 3.ポンプ施設で摩耗や閉塞の原因となることがある
- 4.SSは溶解性であり沈殿・閉塞の原因にはならない
▶正解と解説
正解:4
SSは水に溶けない浮遊性の固形物で、管きょ堆積による閉塞、ポンプの摩耗・閉塞、沈殿池負荷の増大などの原因となる。溶解性ではない。
例19工場排水による活性汚泥への毒性(ショックロード)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.有害物質の急激な流入は活性汚泥の解体やバルキングなど処理障害を起こすことがある
- 2.活性汚泥は有害物質に対し常に高い耐性をもつ
- 3.毒性物質が流入しても処理水質に影響は生じない
- 4.毒性影響を受けた活性汚泥は必ず即座に回復する
▶正解と解説
正解:1
有害物質や高濃度排水の急激な流入は微生物を死滅・解体させ、処理水質悪化や沈降不良(バルキング)を招くことがある。回復には時間を要する場合があり、影響が生じないとはいえない。
例20pHに関する排除基準と影響について、最も不適切なものはどれか。
- 1.強酸性・強アルカリ性の排水は管きょやポンプ等を腐食・損傷させる
- 2.pHが基準を外れると生物処理の微生物活性に悪影響を与える
- 3.酸性排水は硫化水素の遊離を促し腐食や悪臭の原因となることがある
- 4.pHは処理に影響しないため排除基準は定められていない
▶正解と解説
正解:4
pHは生物処理機能や施設腐食に大きく影響するため、下水道への排除基準(一般に5を超え9未満等)が定められている。酸性側では硫化水素が遊離しやすく、悪臭・腐食を助長する。
※掲載しているのは、公式資料をもとに当サイトが独自作成した模擬問題です(実際の試験問題の転載ではありません)。採点・間違えた問題の自動記録・復習スケジュールまで使うには、下のボタンから演習モードでどうぞ。