コンクリート主任技士「各種・特殊コンクリート・維持管理」対策
高強度・高流動・水中・プレストレスト・繊維補強・軽量・プレキャストコンクリート、再生骨材やCO2削減などの環境配慮、補修・補強・点検・維持管理を扱う分野です。
収録問題数:20問(解説つき)/最終更新:2026年8月
「各種・特殊コンクリート・維持管理」で実際に問われること
収録している20問すべてを、本番と同じ四肢択一の形で掲載しています。各問の「正解と解説」を開くと、正解と、解答の根拠になる要点が読めます。
例1高強度コンクリート(設計基準強度50N/mm²以上)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.水セメント比を小さくするため、高性能AE減水剤を用いて流動性を確保する
- 2.自己収縮は普通強度コンクリートに比べて小さいため、収縮ひび割れの懸念は少ない
- 3.火災時に表層部が剥離・飛散する爆裂が生じやすく、ポリプロピレン短繊維の混入が対策として有効である
- 4.セメント量が多くなるため、水和熱による温度ひび割れに対する配慮が必要となる
▶正解と解説
正解:2
高強度コンクリートは水セメント比が小さく単位セメント量が多いため、自己収縮が普通強度より大きくなり、収縮ひび割れに対する配慮がむしろ重要となる。爆裂対策としてのPP繊維混入や水和熱対策は適切な記述である。
例2高流動コンクリートに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.スランプ試験で品質管理を行い、一般にスランプ12cm程度を目標とする
- 2.締固め作業が必要なため、振動機による十分なバイブレーションを前提に配合設計する
- 3.材料分離抵抗性を高めるため、粉体系では単位粉体量を多く、増粘剤系では増粘剤を併用する
- 4.粗骨材量を多くするほど自己充填性が向上する
▶正解と解説
正解:3
高流動コンクリートは自己充填性と材料分離抵抗性を両立させる必要があり、粉体系・増粘剤系・併用系がある。流動性はスランプフロー試験で管理し、自己充填性確保のため粗骨材量はむしろ抑える。締固め不要が特徴である。
例3水中コンクリートに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.水中不分離性混和剤を用いると、水中落下時の材料分離やセメント流出を抑制できる
- 2.トレミーやコンクリートポンプを用い、打込み中はその先端をコンクリート中に挿入し続ける
- 3.水中不分離性コンクリートは流動性が高い一方、凝結が遅延しやすい傾向がある
- 4.一般の水中コンクリートでは、気中施工と同等の強度が得られるため割増しは不要である
▶正解と解説
正解:4
水中施工ではセメントの流出や材料分離により強度が低下しやすいため、所要強度を確保するには配合強度の割増し(水セメント比を小さく)が必要となる。トレミー先端をコンクリート中に保持する施工や不分離性混和剤の使用は適切である。
例4プレストレストコンクリート(PC)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.プレストレスの減少(ロス)の原因には、コンクリートのクリープ・乾燥収縮、PC鋼材のリラクセーションがある
- 2.プレテンション方式は、コンクリート硬化後にシース内のPC鋼材を緊張・定着する工法である
- 3.PCには低強度コンクリートが適しており、設計基準強度は24N/mm²程度が標準である
- 4.ポストテンション方式では、PC鋼材とコンクリートの付着のみで応力を伝達し、定着具は用いない
▶正解と解説
正解:1
プレストレスはコンクリートのクリープ・乾燥収縮やPC鋼材のリラクセーション等により時間とともに減少する。プレテンションは緊張後にコンクリートを打設、ポストテンションは硬化後に緊張・定着具で定着する方式で、PCには高強度コンクリートが用いられる。
例5繊維補強コンクリート(FRC)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.鋼繊維補強コンクリート(SFRC)は、ひび割れ後の靭性やじん性・曲げタフネスの向上に寄与する
- 2.繊維を混入する主目的は、コンクリートの圧縮強度を大幅に増加させることである
- 3.ポリプロピレン繊維は主に火災時の爆裂防止や乾燥収縮ひび割れの抑制に用いられる
- 4.繊維の混入によりワーカビリティーは一般に低下するため、配合調整が必要となる
▶正解と解説
正解:2
繊維補強の主目的は、ひび割れ後の靭性・曲げタフネス・ひび割れ分散性の向上であり、圧縮強度の大幅な増加ではない。鋼繊維はじん性向上、PP繊維は爆裂防止や収縮ひび割れ抑制に用いられる。
例6軽量骨材コンクリートに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.単位容積質量が大きいため、構造物の自重低減には不利である
- 2.普通コンクリートに比べヤング係数が大きく、たわみが小さくなる
- 3.人工軽量骨材は吸水率が大きいため、運搬・圧送中のスランプ低下対策としてプレウェッティング(事前吸水)が有効である
- 4.中性化や凍結融解に対する抵抗性は普通コンクリートより高い
▶正解と解説
正解:3
人工軽量骨材は多孔質で吸水率が大きいため、圧送によるスランプ低下や圧送性低下を防ぐ目的でプレウェッティングを行う。軽量骨材コンクリートはヤング係数が小さく自重低減に有利だが、中性化や凍害に対しては一般に不利となる。
例7プレキャストコンクリート(PCa)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.工場製作のため品質が安定しやすく、現場での養生期間短縮や工期短縮が期待できる
- 2.接合部(目地・継手)の施工品質が構造性能を左右するため、設計・施工上の重要点となる
- 3.蒸気養生などの促進養生により、早期に脱型・出荷強度を得ることができる
- 4.現場打ちに比べて部材寸法精度が劣るため、目地は大きめに設計するのが一般的である
▶正解と解説
正解:4
プレキャスト部材は工場で型枠を用い高精度に製作されるため、寸法精度は現場打ちより優れる。品質安定・工期短縮・促進養生による早期強度発現が利点であり、接合部の施工が構造性能上の要点となる。
例8再生骨材コンクリートに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.再生骨材Hは品質が最も高く、構造用コンクリートにも適用可能である
- 2.再生骨材は付着モルタル分の影響で吸水率が小さく、乾燥収縮も小さくなる
- 3.再生骨材L(低品質)は、ヤング係数や乾燥収縮に優れ、構造部材に広く用いられる
- 4.再生骨材を用いると凍結融解抵抗性が普通骨材より一律に向上する
▶正解と解説
正解:1
再生骨材はH(高品質)・M・L(低品質)に分類され、Hは原コンクリート骨材に近い品質で構造用にも適用できる。付着モルタルにより吸水率は大きく乾燥収縮も大きくなりやすいため、Lは均しコンクリート等の用途に限定される。
例9コンクリートの環境配慮・CO2削減に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.高炉スラグ微粉末やフライアッシュを混和材として用いると、製造時のCO2排出量低減に寄与する
- 2.環境負荷低減のため、混和材の置換率を高めるほど初期強度発現と中性化抵抗性が常に向上する
- 3.ポルトランドセメントの製造は石灰石の脱炭酸を伴うため、CO2排出量が大きい
- 4.CO2を吸収・固定する技術(カーボンキャプチャを利用したコンクリート等)の開発が進んでいる
▶正解と解説
正解:2
高炉スラグやフライアッシュの置換率を高めるとCO2低減には有効だが、初期強度の発現は遅くなり、中性化に対する抵抗性はむしろ低下する傾向がある。混和材利用やCO2固定技術はCO2削減策として正しい。
例10コンクリート構造物の劣化機構と外観上の特徴の組合せとして、最も不適切なものはどれか。
- 1.塩害 ── 鉄筋に沿ったひび割れ、錆汁、かぶりコンクリートの剥離・剥落
- 2.中性化 ── 鉄筋腐食に伴うかぶりの浮き・剥離、フェノールフタレイン無呈色域の拡大
- 3.凍害 ── 主に内部鉄筋の溶解による断面欠損と空洞化
- 4.アルカリシリカ反応(ASR) ── 亀甲状(網目状)ひび割れ、ゲルの滲出、白色析出物
▶正解と解説
正解:3
凍害は水分の凍結膨張によりスケーリング、微細ひび割れ、ポップアウト等の表層劣化を生じる機構であり、鉄筋の溶解による空洞化ではない。塩害・中性化・ASRの外観特徴の記述は適切である。
例11塩害を受けたコンクリート構造物の補修・対策に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.電気化学的脱塩工法により、コンクリート中の塩化物イオンを電気的に除去する
- 2.表面被覆や含浸材により、外部からの塩化物イオンや水分の浸入を抑制する
- 3.犠牲陽極方式や外部電源方式による電気防食で、鉄筋の腐食進行を抑制する
- 4.断面修復にあたっては、塩化物を含む劣化部を残し、その上に被覆を施すのが原則である
▶正解と解説
正解:4
塩害補修では塩化物を多く含む劣化したかぶりコンクリートを除去(はつり)してから断面修復するのが原則で、塩分を残すとマクロセル腐食等で再劣化を招く。脱塩、表面被覆・含浸、電気防食はいずれも適切な対策である。
例12コンクリート構造物の補強工法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.連続繊維シート(炭素繊維・アラミド繊維等)接着工法は、軽量で施工性に優れ、曲げ・せん断補強に用いられる
- 2.鋼板接着工法は、コンクリート表面に鋼板を接着するもので、断面増加が大きく自重も大幅に増す点が最大の利点である
- 3.外ケーブル工法は、既設部材のひび割れ幅を拡大させる目的で用いられる
- 4.増厚工法は部材断面を減少させて耐力を高める工法である
▶正解と解説
正解:1
連続繊維シート接着工法は軽量・高強度・耐食性に優れ、曲げ・せん断補強や耐震補強に広く用いられる。鋼板接着は薄い鋼板で断面・自重増を抑えるのが利点、外ケーブルは緊張力導入、増厚は断面増加による補強であり、他の記述は誤り。
例13コンクリート構造物の点検・調査・非破壊試験に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.反発度法(リバウンドハンマー)は、表面硬度から圧縮強度を推定する非破壊試験である
- 2.中性化深さの測定には、超音波伝播速度法を用い、フェノールフタレイン法は使用しない
- 3.自然電位法は、鉄筋の腐食の可能性(活性度)を電位から評価する手法である
- 4.電磁波レーダ法や電磁誘導法は、鉄筋位置やかぶり厚さの推定に用いられる
▶正解と解説
正解:2
中性化深さの測定は、はつり面やコア側面にフェノールフタレイン溶液を噴霧し、呈色しない(中性化した)範囲を測る方法が一般的である。反発度法、電磁波レーダ・電磁誘導法、自然電位法の記述は適切である。
例14コンクリートのひび割れ補修工法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.微細なひび割れには、低粘度のエポキシ樹脂等を注入する樹脂注入工法が用いられる
- 2.比較的幅の大きいひび割れには、ひび割れに沿ってU字・V字に切削し補修材を充填するU(V)カット工法が用いられる
- 3.ひび割れ表面に被覆材を塗布するひび割れ被覆工法は、漏水を伴う進行性のひび割れにも単独で最も適する
- 4.注入工法では、ひび割れ幅や挙動の有無に応じて注入材(硬質形・軟質形)を選定する
▶正解と解説
正解:3
ひび割れ被覆工法は微細で挙動の小さいひび割れの表面保護に適するが、漏水や進行性のひび割れには注入工法やUカット工法、止水材の併用が必要で、被覆単独では不十分である。注入・Uカット・注入材選定の記述は適切である。
例15マスコンクリートの温度ひび割れ対策に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.低発熱形のセメント(中庸熱・低熱ポルトランドセメント、高炉セメント等)を用いる
- 2.プレクーリングやパイプクーリングにより打込み温度や内部最高温度を低減する
- 3.打込み区画の分割や打継ぎ間隔の調整により、内部拘束・外部拘束を緩和する
- 4.単位セメント量を増やして発熱量を高め、ひび割れを抑制する
▶正解と解説
正解:4
マスコンクリートでは水和熱による温度上昇とその後の収縮が温度ひび割れの原因となるため、単位セメント量を増やすと発熱量が増えてひび割れを助長する。低発熱セメントの使用やクーリング、区画分割などが正しい対策である。
例16暑中コンクリートおよび寒中コンクリートに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.暑中コンクリートでは、運搬中のスランプ低下やコールドジョイントを防ぐため、練上り温度の管理や遅延形混和剤の使用が有効である
- 2.暑中コンクリートでは、打込み時のコンクリート温度を高く保つほど長期強度の発現に有利である
- 3.寒中コンクリートでは、初期凍害を防ぐため、打込み後ただちに散水して湿潤状態を保つのがよい
- 4.寒中コンクリートでは、AE剤の使用は凍害抵抗性に悪影響を与えるため避けるべきである
▶正解と解説
正解:1
暑中コンクリートでは温度上昇によりスランプ低下や凝結促進、コールドジョイントが問題となるため、練上り温度管理(一般に35℃以下)や遅延形混和剤が有効。打込み温度が高いと長期強度はむしろ低下する。寒中では初期凍害防止のため保温養生を行い、AE剤は凍害抵抗性向上に有効である。
例17コンクリート構造物の維持管理(メンテナンスサイクル)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.点検により変状を把握し、診断(劣化機構の推定・劣化進行予測)を経て対策を講じる
- 2.事後保全(対症療法的な維持管理)は、計画的な予防保全よりライフサイクルコストが常に小さくなる
- 3.健全度の評価結果は記録・蓄積し、次回点検や対策計画に活用する
- 4.予防保全的な維持管理は、劣化が顕在化する前に対策を行い、長寿命化やライフサイクルコスト低減に資する
▶正解と解説
正解:2
事後保全は劣化が顕在化・進行してから対策を行うため、補修規模が大きくなりがちで、計画的な予防保全よりライフサイクルコストはむしろ大きくなる傾向がある。点検→診断→対策のメンテナンスサイクルや記録の活用は適切である。
例18吹付けコンクリート(NATM等に用いるもの)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.急結剤を添加し、吹付け後速やかに凝結・硬化させて早期に地山を支保する
- 2.凝結を遅らせる遅延形混和剤を主体とし、長時間かけて緩やかに硬化させる
- 3.はね返り(リバウンド)は品質・経済性に影響しないため低減対策は不要である
- 4.乾式・湿式の区別はなく、配合・施工方法は単一に定められている
▶正解と解説
正解:1
吹付けコンクリートには急結剤を添加し、吹付け後速やかに凝結・硬化させて地山を早期に支保する。湿式・乾式の方式があり、はね返り(リバウンド)の低減が施工上の課題となる。早期強度発現が求められるため、凝結を遅らせる遅延形混和剤を主体とするのは不適切である。
例19ポーラスコンクリート(透水性・植生用などの多孔質コンクリート)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.細骨材を用いないか少量とし、粗骨材を薄いペーストで結合して連続空隙を確保する
- 2.連続空隙により透水性・通気性・吸音性・植生基盤などの機能を発現する
- 3.空隙が少なく緻密なため、普通コンクリートより圧縮強度が高い
- 4.凍結融解や目詰まりによる空隙の閉塞が耐久性・機能上の課題となる
▶正解と解説
正解:3
ポーラスコンクリートは連続空隙を確保するため細骨材を用いないか少量とし、粗骨材表面を薄いペーストで結合する。連続空隙により透水・通気・植生・吸音などの機能を持つ反面、空隙が多く強度は普通コンクリートより低い。したがって緻密で高強度というのは誤りである。
例20コンクリート構造物の劣化度評価と健全度判定に基づく対策区分に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.変状が軽微で進行が緩やかな場合は、経過観察(モニタリング)を選択することがある
- 2.耐荷性能の低下が懸念される場合は、断面修復に加えて補強(耐力回復)を検討する
- 3.劣化機構や進行度に応じて、補修・補強・供用制限・更新などの対策区分を選定する
- 4.健全度や劣化の程度によらず、常に大規模な補強または更新を一律に実施するのが合理的である
▶正解と解説
正解:4
点検・診断で得た劣化度(健全度)に応じて、監視(経過観察)・補修・補強・供用制限・更新(取替え)などの対策区分を選定する。健全度が高く変状が軽微であれば経過観察とすることもあり、劣化の程度によらず常に大規模な補強・更新を行うという考え方は維持管理の合理性に反し不適切である。
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