コンクリート主任技士「構造・設計・規格」対策
限界状態設計法・許容応力度設計、かぶり・鉄筋定着/継手、クリープ・乾燥収縮、JIS A 5308や土木学会標準示方書・JASS5の規定解釈など、構造・設計・規格を扱う分野です。
収録問題数:20問(解説つき)/最終更新:2026年8月
「構造・設計・規格」で実際に問われること
収録している20問すべてを、本番と同じ四肢択一の形で掲載しています。各問の「正解と解説」を開くと、正解と、解答の根拠になる要点が読めます。
例1鉄筋コンクリートの限界状態設計法における安全係数のうち、材料の特性値のばらつきを考慮して材料強度を低減するために用いる係数として正しいものはどれか。
- 1.材料係数 γm
- 2.構造解析係数 γa
- 3.部材係数 γb
- 4.荷重係数 γf
▶正解と解説
正解:1
材料係数γmは、材料強度の特性値のばらつきを考慮し、設計強度を求める際に特性値を除して(低減して)用いる係数である。コンクリートで1.3、鉄筋で1.0〜1.05程度が標準的に用いられる。
例2鉄筋コンクリート部材における鉄筋のかぶり(かぶり厚さ)の主たる目的として、最も適切でないものはどれか。
- 1.鉄筋とコンクリートの付着を確保する
- 2.コンクリートの自己収縮を低減する
- 3.火災時の鉄筋の温度上昇を抑制する(耐火性)
- 4.鉄筋の腐食を防止する(中性化・塩害に対する保護)
▶正解と解説
正解:2
かぶりの目的は、鉄筋の防錆(耐久性)、付着力の確保、耐火性の確保である。自己収縮はセメントの水和反応に起因する体積変化であり、かぶり厚さによって低減されるものではない。
例3土木学会標準示方書における、異形鉄筋の基本定着長に関する記述として正しいものはどれか。
- 1.基本定着長は鉄筋径に反比例する
- 2.基本定着長はコンクリートの設計付着強度が大きいほど長くなる
- 3.基本定着長は鉄筋の降伏強度が大きいほど長くなる
- 4.基本定着長は鉄筋径に依存しない
▶正解と解説
正解:3
基本定着長は、鉄筋の降伏強度と鉄筋径に比例し、コンクリートの設計付着強度に反比例する。鉄筋の強度が高いほど、また径が大きいほど定着長は長くなる。
例4許容応力度設計法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.材料が降伏点に達した状態を限界状態として設計する
- 2.確率論的に破壊確率を算定して照査する
- 3.終局耐力を直接照査して安全性を確認する
- 4.材料の許容応力度は基準強度を安全率で除した値とする
▶正解と解説
正解:4
許容応力度設計法では、材料の基準強度を安全率で除した許容応力度を求め、作用荷重によって生じる応力度がこの許容応力度以下となることを照査する。弾性範囲を前提とした設計法である。
例5JIS A 5308で規定されるレディーミクストコンクリートの空気量の許容差として正しいものはどれか(普通コンクリートの場合)。
- 1.±1.5%
- 2.±1.0%
- 3.±2.0%
- 4.±2.5%
▶正解と解説
正解:1
JIS A 5308では、普通・軽量・舗装・高強度コンクリートのいずれも空気量の許容差は±1.5%と規定されている。指定した空気量に対してこの範囲内であることが求められる。
例6鉄筋の重ね継手に関する記述として、最も適切でないものはどれか。
- 1.継手は応力の小さい位置に設けることが望ましい
- 2.同一断面に継手を集中させることが望ましい
- 3.重ね継手長は鉄筋の付着強度が大きいほど短くできる
- 4.継手部では所要の重ね合わせ長さを確保する必要がある
▶正解と解説
正解:2
重ね継手は同一断面に集中させず、相互にずらして配置することが望ましい。継手の集中は応力伝達上の弱点となるため、断面を分散させ、かつ応力の小さい位置に設けるのが原則である。
例7JASS 5(鉄筋コンクリート工事)における計画供用期間の級と、耐久設計基準強度の組合せに関する記述として正しいものはどれか。
- 1.計画供用期間が長い級ほど耐久設計基準強度は小さくてよい
- 2.短期の級(約30年)の耐久設計基準強度は30N/mm²である
- 3.標準の級(大規模補修不要予定期間約65年)の耐久設計基準強度は24N/mm²である
- 4.計画供用期間の級は耐久設計基準強度と無関係である
▶正解と解説
正解:3
JASS 5では計画供用期間の級に応じて耐久設計基準強度が定められ、短期(約30年)18N/mm²、標準(約65年)24N/mm²、長期(約100年)30N/mm²である。期間が長い級ほど高い強度が要求される。
例8鉄筋コンクリートはりの曲げ破壊において、鉄筋比が釣合い鉄筋比より小さい場合(過小鉄筋)の破壊性状として正しいものはどれか。
- 1.コンクリートが圧壊した後に鉄筋が降伏する脆性的な破壊となる
- 2.せん断破壊が先行する
- 3.鉄筋とコンクリートが同時に終局に達する
- 4.鉄筋が降伏した後にコンクリートが圧壊する靱性的な破壊となる
▶正解と解説
正解:4
過小鉄筋(鉄筋比が釣合い鉄筋比未満)の場合、引張鉄筋が先に降伏し、変形が増大してからコンクリートが圧壊する。前兆を伴う靱性的な破壊となり、設計上望ましい破壊形式である。
例9限界状態設計法における終局限界状態の照査として、最も適切なものはどれか。
- 1.断面の曲げ耐力・せん断耐力が設計断面力を上回ることの照査
- 2.使用時のたわみが許容値以下であることの照査
- 3.ひび割れ幅が許容値以下であることの照査
- 4.コンクリート表面の美観に関する照査
▶正解と解説
正解:1
終局限界状態は、部材が破壊や不安定に至る限界であり、曲げ・せん断・軸力などに対する断面耐力が設計断面力を上回ることを照査する。ひび割れやたわみは使用限界状態の照査項目である。
例10鉄筋のフックに関する記述として、最も適切でないものはどれか。
- 1.丸鋼は原則として末端部にフックを設ける
- 2.異形鉄筋ではいかなる場合もフックを省略してはならない
- 3.フックは定着長に余裕を持たせるための補助的役割を持つ
- 4.180°フック(半円形フック)、135°フック、90°フックなどがある
▶正解と解説
正解:2
異形鉄筋は付着が良好なため、所要の定着長を確保できる場合はフックを省略できる。一方、丸鋼は付着が小さいため原則として末端にフックを設ける必要がある。したがって「いかなる場合も省略不可」は誤り。
例11鉄筋コンクリート部材のせん断補強筋(スターラップ・帯鉄筋)の役割に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.主に曲げモーメントに抵抗する
- 2.コンクリートの乾燥収縮を防止する
- 3.斜めひび割れの発生・進展を抑制し、せん断耐力を高める
- 4.鉄筋の防錆を目的とする
▶正解と解説
正解:3
せん断補強筋は、せん断力により生じる斜め引張応力に抵抗し、斜めひび割れの進展を抑制してせん断耐力を高める。また、主鉄筋の位置保持や脆性的なせん断破壊の防止にも寄与する。
例12プレストレストコンクリートに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.プレテンション方式はコンクリート硬化後にPC鋼材を緊張する方式である
- 2.ポストテンション方式はコンクリート打設前にPC鋼材を緊張する方式である
- 3.プレストレスは時間経過によって増大する
- 4.プレストレスの導入により、コンクリートに生じる引張応力を低減できる
▶正解と解説
正解:4
プレストレスをあらかじめ導入することで、外力による引張応力を相殺し、ひび割れを抑制できる。プレテンションは硬化前に緊張・付着で定着、ポストテンションは硬化後に緊張する方式であり、プレストレスはクリープや乾燥収縮等で経時的に減少する。
例13土木学会標準示方書における設計に用いる材料の特性値に関する記述として、正しいものはどれか。
- 1.特性値はある信頼度のもとで保証される値(例えば5%下側分位値)である
- 2.特性値は試験値の平均値そのものを用いる
- 3.特性値は最大値を用いる
- 4.特性値は設計者が任意に定めてよい
▶正解と解説
正解:1
材料の特性値は、試験値の母集団においてある一定の信頼度(一般に95%)で下回らないと期待される値、すなわち5%下側分位値などとして規定される。これに材料係数を考慮して設計用値を求める。
例14鉄筋コンクリート柱の帯鉄筋(フープ)に関する記述として、最も適切でないものはどれか。
- 1.軸方向鉄筋の座屈を防止する
- 2.帯鉄筋の間隔は広いほど拘束効果が大きくなる
- 3.せん断補強筋としての役割を持つ
- 4.コンクリートを拘束し、靱性(変形能力)を高める
▶正解と解説
正解:2
帯鉄筋は軸方向鉄筋の座屈防止、コンクリートの拘束による靱性向上、せん断補強の役割を持つ。間隔を狭くするほど拘束効果や座屈防止効果が高まるため、「間隔が広いほど拘束効果が大きい」は誤りである。
例15鉄筋コンクリートの設計で用いるヤング係数比(n=Es/Ec)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.コンクリートのヤング係数が大きいほど、ヤング係数比nは大きくなる
- 2.ヤング係数比は鉄筋径によって決まる
- 3.ヤング係数比は鉄筋とコンクリートのヤング係数の比であり、許容応力度設計の断面計算に用いられる
- 4.ヤング係数比はコンクリート強度に依存せず一定値である
▶正解と解説
正解:3
ヤング係数比n=Es/Ecは鉄筋とコンクリートのヤング係数の比で、許容応力度設計における換算断面計算等に用いる。コンクリートのヤング係数Ecは強度とともに大きくなるため、強度が高いほどnは小さくなる。
例16コンクリートのクリープに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.クリープは部材断面が大きいほど大きくなる
- 2.クリープは載荷時のコンクリート材齢が古いほど大きくなる
- 3.クリープは水セメント比が小さいほど大きくなる
- 4.クリープは持続荷重の下で時間とともにひずみが増大する現象である
▶正解と解説
正解:4
クリープは持続荷重下でひずみが時間とともに増大する現象である。載荷材齢が若いほど、水セメント比が大きいほど、また乾燥しやすい(断面が小さく体積表面積比が小さい)ほどクリープは大きくなる。
例17コンクリートの乾燥収縮に関する記述として、最も適切でないものはどれか。
- 1.水セメント比が一定なら単位水量を増やしても乾燥収縮は変わらない
- 2.骨材量が多く骨材の弾性係数が大きいほど乾燥収縮は拘束され小さくなる
- 3.部材の体積表面積比が大きい(厚い)ほど乾燥収縮の進行は遅くなる
- 4.単位水量が大きいほど乾燥収縮は大きくなる傾向がある
▶正解と解説
正解:1
乾燥収縮は主にセメントペースト量と単位水量に支配され、単位水量が増えるほど大きくなる。骨材は収縮を拘束し、厚い部材は乾燥が遅く収縮の進行も遅い。水セメント比一定でも単位水量増で収縮は増大する。
例18鉄筋コンクリートはりの引張鉄筋として異形鉄筋D19(公称断面積287mm²)を4本配置した。鉄筋の降伏強度(特性値)を345N/mm²とするとき、この引張鉄筋が降伏時に負担できる引張力として最も近いものはどれか。
- 1.約99 kN
- 2.約198 kN
- 3.約396 kN
- 4.約792 kN
▶正解と解説
正解:3
引張鉄筋の総断面積As=287×4=1148mm²。降伏時の引張力T=As×fy=1148×345≒396000N=約396kNとなる。曲げ耐力算定では、この引張力とコンクリート圧縮合力の釣合いから中立軸位置や曲げ耐力を求める。
例19鉄筋コンクリートはりのせん断挙動とせん断スパン比(a/d、a:せん断スパン、d:有効高さ)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.せん断スパン比が小さいはりではアーチ作用が卓越し、見かけのせん断耐力が増大する傾向がある
- 2.せん断スパン比が小さいほど曲げ破壊が先行しやすく、せん断耐力は低下する
- 3.せん断スパン比はせん断挙動に影響せず、曲げ耐力のみを左右する
- 4.せん断補強筋を増やすとせん断耐力は低下し、脆性破壊を助長する
▶正解と解説
正解:1
せん断スパン比a/dが小さい(概ね2.5以下)ディープビームではアーチ作用が卓越し、見かけのせん断耐力が増大する。a/dが大きいはりでは曲げ作用が支配的となり斜め引張破壊が生じやすい。せん断補強筋は斜めひび割れに抵抗してせん断耐力と靱性を高める。
例20コンクリートのヤング係数(弾性係数)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.ヤング係数は圧縮強度に関係なく一定値である
- 2.軽量骨材コンクリートは普通コンクリートよりヤング係数が大きい
- 3.ヤング係数は圧縮強度が高いほど小さくなる
- 4.ヤング係数は圧縮強度が高いほど、また単位容積質量が大きいほど大きくなる傾向がある
▶正解と解説
正解:4
コンクリートのヤング係数は圧縮強度が高いほど、また単位容積質量(密度)が大きいほど大きくなる。土木学会示方書・建築学会の式でも圧縮強度と密度の関数として与えられ、設計基準強度24N/mm²程度の普通コンクリートでおおむね2.5×10⁴N/mm²前後である。軽量骨材コンクリートはヤング係数が小さい。
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