コンクリート診断士「調査・試験」対策
外観調査・コア採取・反発度法・電磁波レーダ・自然電位法・中性化深さ測定・塩化物量分析など、劣化を把握するための各種調査・試験手法を扱う分野です。
収録問題数:23問(解説つき)/最終更新:2026年8月
「調査・試験」で実際に問われること
収録している23問から20問を、本番と同じ四肢択一の形で抜粋しました。各問の「正解と解説」を開くと、正解と、解答の根拠になる要点が読めます。
例1鉄筋コンクリート構造物のひび割れ調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.ひび割れ幅はクラックスケール(クラックゲージ)を用い、目視で照合して0.05mm程度の単位で読み取る
- 2.ひび割れ幅の経時変化を測定する場合はコンタクトゲージやπ型変位計を用いる
- 3.ひび割れの深さはひび割れをまたぐように超音波の発・受信子を配置するTc-To法などで推定できる
- 4.ひび割れの開口幅は構造物の温度や荷重状態によらず一定であるため測定時刻を考慮する必要はない
▶正解と解説
正解:4
ひび割れ幅は温度変化や活荷重の作用により開閉するため、測定時の条件記録が重要であり、時刻や気温によらず一定とはいえない。クラックスケールによる目視測定、変位計による経時測定、超音波によるひび割れ深さ推定はいずれも適切である。
例2コア採取による圧縮強度試験に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.コア供試体の直径は粗骨材最大寸法の3倍以上を標準とし、一般に直径100mm程度を用いる
- 2.供試体の高さと直径の比(h/D)が2より小さい場合でも補正は不要で実測値をそのまま用いる
- 3.コアは鉄筋を含むように採取するほど実構造物の強度を正確に反映する
- 4.コア採取位置は構造物の最も荷重の大きい主筋直上を優先して選定する
▶正解と解説
正解:1
コア直径は粗骨材最大寸法の3倍以上が標準で、一般に100mm程度を用いる。h/Dが2未満では補正係数を乗じる必要があり、鉄筋を含むと強度が低下するため避けるのが原則である。採取位置は構造耐力上重要な部位を避けて選定する。
例3反発度法(テストハンマー法、シュミットハンマー)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.反発度は表層部の硬度に依存するため、中性化や表面の状態の影響を受ける
- 2.測定値には打撃方向による補正および材齢補正を行う必要がある
- 3.20点程度の測定値のうち平均値から大きく外れる値を棄却して平均反発度を求める
- 4.得られる強度は構造物内部の平均的な圧縮強度であり、コア強度との相関は極めて高い
▶正解と解説
正解:4
反発度法はコンクリート表層部の硬度を測定するもので、内部の平均強度を直接表すものではなく、推定強度には相当のばらつきがある。中性化・含水・表面状態の影響を受け、打撃方向や材齢の補正を要する。異常値を棄却して平均を求めるのは適切な手順である。
例4電磁波レーダ法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.比誘電率が既知であれば反射波の到達時間から鉄筋や空隙までの深さを推定できる
- 2.コンクリートが湿潤状態になると電磁波の減衰が小さくなり探査深度が深くなる
- 3.鉄筋の径を直接かつ高精度で測定できるため電磁誘導法より優れている
- 4.金属製の埋設物があると電磁波が透過するためその背後の状況も明瞭に把握できる
▶正解と解説
正解:1
電磁波レーダ法は比誘電率を仮定または既知とし、反射波の往復時間からかぶりや空隙位置を推定する。含水率が高いと比誘電率が大きくなり減衰が増して探査深度は浅くなる。鉄筋径の測定は不得手で、金属は電磁波を反射するため背後は探査できない。
例5鉄筋探査における電磁誘導法と電磁波レーダ法の比較に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.電磁誘導法は鉄筋の磁気的性質を利用するため、かぶりが比較的浅い範囲で鉄筋径の推定が可能である
- 2.電磁波レーダ法は電磁誘導法に比べて一般に探査可能な深度が深い
- 3.電磁誘導法は鉄筋が密に配置され重なっている場合でも個々の鉄筋を明確に分離して検出できる
- 4.いずれの方法もコンクリート中の鉄筋位置やかぶりの非破壊調査に用いられる
▶正解と解説
正解:3
電磁誘導法は鉄筋が密集・重複していると相互の磁場が干渉し、個々の鉄筋の分離検出が困難になる。電磁誘導法はかぶりが浅い範囲で径推定が可能、電磁波レーダ法は探査深度が深い点が特徴で、いずれも非破壊の鉄筋探査に用いられる。
例6自然電位法による鉄筋腐食の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.自然電位が卑(マイナス側に大きい)であるほど腐食の可能性が低いと判定される
- 2.ASTM C876では飽和硫酸銅電極基準で電位がマイナス350mVより卑な場合、90%以上の確率で腐食ありと判定される
- 3.自然電位法は鉄筋の腐食速度(腐食量)を定量的に測定する方法である
- 4.コンクリートが乾燥していても湿潤していても測定電位は同一の値となる
▶正解と解説
正解:2
ASTM C876では飽和硫酸銅電極(CSE)基準で-350mVより卑な場合、90%以上の確率で腐食ありとされる。電位が卑であるほど腐食の可能性は高く、自然電位法は腐食の可能性の評価であって腐食速度は測れない。含水状態により電位は変動する。
例7分極抵抗法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.分極抵抗は腐食速度に比例し、その値が大きいほど腐食速度が大きい
- 2.微小な電流または電位を与えたときの応答から分極抵抗を求め、腐食速度(腐食電流密度)を推定する
- 3.分極抵抗法は鉄筋の位置やかぶりを測定するための非破壊試験である
- 4.測定にあたりコンクリート抵抗の影響は無視できるため補正は一切不要である
▶正解と解説
正解:2
分極抵抗法は鉄筋に微小な分極を与え、その応答から分極抵抗Rpを求め、腐食電流密度(腐食速度)を推定する。腐食速度は分極抵抗に反比例し、値が小さいほど腐食が活発である。コンクリート抵抗(IR降下)の影響を補正する必要がある。
例8中性化深さの測定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.フェノールフタレイン1%エタノール溶液を噴霧し、赤紫色に呈色した部分が中性化していない健全部である
- 2.中性化していない高アルカリ部分は無色のままで、呈色しない範囲を中性化深さとして測定する
- 3.測定はコア側面やはつり面など新しい破断面に対して行う
- 4.測定面が乾燥しすぎている場合は呈色が不明瞭になることがある
▶正解と解説
正解:2
フェノールフタレイン1%エタノール溶液はpH約9以上で赤紫色に呈色する。健全な高アルカリ部が赤紫色に呈色し、中性化して呈色しない(無色の)範囲が中性化深さである。記述2は呈色・無色の対応が逆になっている。新鮮な破断面で測定し、過度の乾湿は呈色を不明瞭にする。
例9コンクリート中の塩化物イオン量の調査・分析に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.EPMA(電子線マイクロアナライザ)は塩化物イオンの面的な分布を可視化できる
- 2.電位差滴定法では試料を必要とせず構造物表面から非破壊で全塩化物量を測定できる
- 3.全塩化物量は可溶性塩化物量より常に小さい値となる
- 4.硬化コンクリートからの塩化物イオン量は深さによらず一定であるため表層のみ測定すればよい
▶正解と解説
正解:1
EPMAは塩素などの元素の面分析が可能で、塩化物イオンの濃度分布を視覚的に把握できる。電位差滴定法は採取試料を用いる微破壊・破壊試験である。全塩化物量は可溶性塩化物量以上となり、塩化物濃度は一般に深さ方向に分布をもつため複数深さでの測定が必要である。
例10赤外線サーモグラフィ法による調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.表面付近の浮きや剥離部は健全部と異なる温度を示すことを利用して検出する
- 2.日射や気温変化による熱の流れがある時間帯に測定すると欠陥が検出しやすい
- 3.測定対象表面からの放射率や日射条件の影響を受けるため測定時間帯の選定が重要である
- 4.欠陥の深さや内部の鉄筋位置を高精度に定量できる三次元探査法である
▶正解と解説
正解:4
赤外線サーモグラフィ法は表面温度分布の差から浮き・剥離など表層近傍の欠陥を非接触で検出する手法で、欠陥深さや鉄筋位置を定量する三次元探査ではない。浮き部は熱伝達が阻害され健全部と温度差を生じ、日射等の熱流動下で検出されやすく、放射率や測定時間帯の影響を受ける。
例11非破壊・微破壊・破壊試験の区分に関する次の組み合わせのうち、最も適切なものはどれか。
- 1.コア採取による圧縮強度試験 ― 非破壊試験
- 2.反発度法(テストハンマー) ― 破壊試験
- 3.電磁波レーダ法による鉄筋探査 ― 非破壊試験
- 4.小径コアによる中性化深さの確認 ― 完全な非破壊試験
▶正解と解説
正解:3
電磁波レーダ法は対象を傷つけずに行う非破壊試験である。コア採取は構造物を切り取る破壊(または局部破壊)試験、反発度法は非破壊試験、小径コアによる調査は局部的にコンクリートを採取する微破壊試験に区分され、完全な非破壊とはいえない。
例12弾性波法(超音波法・衝撃弾性波法)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.コンクリート中を伝播する弾性波(超音波)の伝播速度は、空隙やひび割れがあると速くなる
- 2.衝撃弾性波法では部材厚さや内部の空隙・剥離を弾性波の反射や共振周波数から推定できる
- 3.超音波の伝播速度はコンクリートの含水状態に全く影響されない
- 4.弾性波速度が小さいほどコンクリートは健全で緻密であると判断できる
▶正解と解説
正解:2
衝撃弾性波法はハンマー等で打撃を与え、弾性波の反射時間や共振(厚さ振動)周波数から部材厚や内部欠陥を推定する。空隙やひび割れがあると伝播経路が長くなり速度は低下する。含水状態は伝播速度に影響し、一般に速度が大きいほど緻密で健全と判断される。
例13コンクリートの配合推定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.セメント量はコンクリート中の可溶性シリカや酸化カルシウム量などから推定される
- 2.骨材量は塩酸などに不溶な残分(不溶残分)の分析から推定される
- 3.単位水量はセメント量と水セメント比の推定値から間接的に求められることがある
- 4.硬化後のコンクリートからは結合水や中性化の影響を受けず、配合を完全に正確に復元できる
▶正解と解説
正解:4
硬化コンクリートの配合推定は、セメントの水和、中性化、骨材由来成分の干渉などにより誤差を含み、当初配合を完全に正確に復元することはできない。セメント量は酸化カルシウム等、骨材量は不溶残分から推定され、単位水量は間接的に求められることがある。
例14打音検査(打診法)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.テストハンマー等で表面を打撃し、その打撃音の違いから浮きや剥離を判定する
- 2.得られる打撃音は内部の圧縮強度に比例するため強度推定に主に用いられる
- 3.健全部では濁った低い音、浮き部では澄んだ高い音となるのが一般的である
- 4.検査結果は打撃位置の違いや検査員の熟練度に全く左右されない客観的測定である
▶正解と解説
正解:1
打音検査は打撃音の差異から表層の浮き・剥離・空隙を判定する手法である。一般に健全部は澄んだ高い音、浮き部は濁った低い(にぶい)音となる。強度推定が主目的ではなく、判定には検査員の経験が影響する定性的な調査である。
例15コンクリートの透気性・透水性に関する試験についての次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.表面の透気試験はコンクリート表層のち密性や品質を評価する指標として用いられる
- 2.透気係数が大きいほど表層が緻密で物質の侵入抵抗性が高いことを示す
- 3.表層透気試験の結果は測定時のコンクリート含水状態の影響を受ける
- 4.透水試験は水の浸透のしやすさから耐久性に関わる組織の緻密さを評価する
▶正解と解説
正解:2
透気係数が大きいほど気体が通りやすく表層が粗であることを意味し、物質侵入抵抗性は低い。緻密なコンクリートほど透気係数は小さくなる。表面透気・透水試験は表層品質や緻密さの評価に用いられ、いずれも測定時の含水状態の影響を受ける。
例16鉄筋腐食に関する各種調査手法とその測定対象の組み合わせのうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.自然電位法 ― 鉄筋腐食の可能性(活性度)の評価
- 2.分極抵抗法 ― 鉄筋の腐食速度の推定
- 3.電気抵抗(比抵抗)測定 ― コンクリートの腐食環境(イオンの移動しやすさ)の評価
- 4.はつり調査による腐食面積率の測定 ― 鉄筋の自然電位の非破壊的な定量
▶正解と解説
正解:4
はつり調査は鉄筋を露出させて腐食状況(断面欠損、腐食面積率、腐食減量)を直接確認する破壊調査であり、自然電位を非破壊で測る方法ではない。自然電位法は腐食の可能性、分極抵抗法は腐食速度、比抵抗測定は腐食環境の評価に用いられる。
例17外観目視調査とひび割れパターンの解釈に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.アルカリシリカ反応では一般に拘束方向に沿った亀甲状(網目状)のひび割れが生じやすい
- 2.乾燥収縮ひび割れは必ず鉄筋に沿った直線状の一方向のひび割れとなる
- 3.凍害による劣化はスケーリングやポップアウトではなく内部鉄筋の腐食ひび割れが主徴候である
- 4.目視調査は定量的データのみを扱うため記録に写真やスケッチを用いる必要はない
▶正解と解説
正解:1
アルカリシリカ反応(ASR)では膨張により亀甲状(網目状)のひび割れが生じ、拘束や応力方向の影響を受ける。乾燥収縮は必ずしも一方向直線状とは限らない。凍害はスケーリングやポップアウトが特徴で、目視調査は写真・スケッチによる記録が不可欠である。
例18コンクリート中の塩化物イオンの簡易・現場測定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.ドリルで採取した粉末試料を用いれば、現場で比較的簡易に塩化物イオン量を推定できる
- 2.簡易測定器による値は常に精密分析と完全に一致するため、確認分析は不要である
- 3.塩化物イオンの簡易測定では、可溶性・全塩化物の区別は結果に全く影響しない
- 4.現場での簡易測定は不可能であり、必ずコアを採取して実験室でのみ測定する
▶正解と解説
正解:1
ドリル法(粉末試料の採取)で得た粉末を抽出し、硝酸銀滴定や塩化物イオン選択性電極等を用いれば現場でも塩化物イオン量を比較的簡易に測定できる。試験紙や簡易測定器は精度に限界があるため精密分析(電位差滴定等)による確認が望ましい。コアによる精密分析は時間を要するため、簡易法と使い分けられる。
例19アコースティック・エミッション(AE)法による調査に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.AE法はコンクリート表面の中性化深さを呈色反応で測定する手法である
- 2.AE法はコンクリート中の塩化物イオン濃度を直接定量する手法である
- 3.AE法はひび割れの発生・進展時に放出される微小弾性波を検出し、損傷の活性度を評価する手法である
- 4.AE法は鉄筋の自然電位を測定して腐食の可能性を評価する手法である
▶正解と解説
正解:3
AE法は、ひび割れの発生・進展時に材料内部から放出される微小な弾性波(AE波)をセンサで検出し、損傷の発生や活性度を評価する手法である。荷重作用下で発生・伝播するひび割れの動的な進展をとらえられる点に特徴がある。塩化物イオン量を直接測る方法でも、表面色を測る方法でもない。
例20硬化コンクリートの空気量・気泡組織の調査(リニアトラバース法等)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1.リニアトラバース法は研磨した断面上で気泡を観察し、空気量や気泡間隔係数を求める手法である
- 2.気泡間隔係数は耐凍害性を評価する指標として用いられる
- 3.硬化コンクリートの気泡組織は、採取した試料の断面を観察して評価することが多い
- 4.気泡間隔係数は構造物表面から非接触・非破壊で直接測定するのが標準的な方法である
▶正解と解説
正解:4
リニアトラバース法は研磨した断面上で気泡を観察し、空気量や気泡間隔係数(耐凍害性の指標)を求める手法であり、断面観察による微破壊的・実験室的な調査である。非接触・非破壊で構造物表面から気泡間隔係数を測定できるという記述は誤り。気泡間隔係数が小さいほど耐凍害性が高いと評価される。
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