コンクリート診断士「補修・補強」対策

表面被覆・含浸、ひび割れ注入、断面修復、電気化学的補修、繊維シート・鋼板接着・巻立て・外ケーブルなど、補修・補強の工法と材料の選定を扱う分野です。

収録問題数:23問(解説つき)/最終更新:2026年8月

補修・補強」で実際に問われること

収録している23問から20問を、本番と同じ四肢択一の形で抜粋しました。各問の「正解と解説」を開くと、正解と、解答の根拠になる要点が読めます。

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  1. 1表面被覆工法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

    1. 1.劣化因子の侵入を遮断することを主目的とする
    2. 2.下地処理として脆弱部やレイタンスを除去することが重要である
    3. 3.ひび割れの再発生が予想される場合は、追従性のある被覆材を選定する
    4. 4.被覆材は母材コンクリートより透湿性(透水・透気性)が高いものを選ぶ
    正解と解説

    正解:4

    表面被覆工法は劣化因子(水分・酸素・塩化物・二酸化炭素など)の侵入を遮断するのが目的であり、被覆材には母材より高い遮断性(低透水・低透気性)が求められる。透湿性が高いものを選ぶという記述は誤り。下地処理やひび割れ追従性への配慮は適切である。

  2. 2表面含浸工法に用いる含浸材に関する記述として、最も適切なものはどれか。

    1. 1.けい酸塩系表面含浸材は、コンクリート表面に撥水層を形成して吸水を防止する
    2. 2.シラン系表面含浸材は、表面に被膜を形成して水蒸気の放出を妨げる
    3. 3.シラン・シロキサン系は細孔内壁を撥水化し、液状水の浸入を抑制する
    4. 4.けい酸塩系は塩化物イオンを化学的に固定し中性化を進行させる
    正解と解説

    正解:3

    シラン・シロキサン系含浸材は細孔内壁を撥水化し、液状水の浸入を抑えつつ水蒸気は透過させる。けい酸塩系はC-S-H生成等で空隙を緻密化する仕組みで撥水ではない。シラン系は被膜を形成せず透湿性を保つため、選択肢2は誤り。

  3. 3ひび割れ注入工法(エポキシ樹脂注入)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

    1. 1.低速・低圧で注入する自動式低圧注入工法は、微細ひび割れにも追従しやすい
    2. 2.漏水を伴うひび割れには、水と反応して発泡硬化する親水性ウレタン系も用いられる
    3. 3.注入後の充填状況はコア採取や打音で確認することがある
    4. 4.乾燥した幅0.2mm程度のひび割れには、超低粘度型より高粘度型のエポキシが適する
    正解と解説

    正解:4

    微細なひび割れ(0.2mm程度)には浸透性に優れた超低粘度型のエポキシ樹脂が適し、高粘度型は適さないため選択肢4が誤り。自動式低圧注入は微細ひび割れへの追従性に優れ、漏水部には親水性ウレタン、充填確認はコアや打音で行うのは適切である。

  4. 4断面修復工法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

    1. 1.断面修復材は、母材と弾性係数や熱膨張係数が大きく異なるものが望ましい
    2. 2.ポリマーセメントモルタルは、付着性や防水性の向上が期待できる
    3. 3.塩害による断面修復では、鉄筋背面まで除去する必要は一切ない
    4. 4.充填工法は、薄層を広範囲に施工する場合に最も適する
    正解と解説

    正解:2

    ポリマーセメントモルタルはポリマー混和により付着性・防水性・中性化抵抗性などが向上し、断面修復材として広く用いられる。修復材は母材と物性が近いものが望ましく、塩害では発錆鉄筋の背面まではつるのが原則。充填工法は型枠を用いて比較的大断面に適し、薄層広範囲は左官や吹付けが適する。

  5. 5塩害により発生するマクロセル腐食と断面修復の関係について、最も適切なものはどれか。

    1. 1.断面修復部と既設健全部の境界では、電位差によりマクロセル腐食が生じにくい
    2. 2.修復部周辺の既設鉄筋が新たに腐食する事例があり、防食を併用する場合がある
    3. 3.修復材を緻密にすればするほど、周辺鉄筋の腐食リスクは常に低減する
    4. 4.マクロセル腐食はアルカリ環境の差が原因で、塩化物濃度差は無関係である
    正解と解説

    正解:2

    断面修復後、修復部(不動態化・高アルカリ)と既設部(塩化物残存)との間に電位差が生じ、既設部の鉄筋がアノードとなってマクロセル腐食(補修後再劣化)が進行することがある。これを防ぐため電気防食の併用等が検討される。塩化物濃度差は腐食電位差の主要因である。

  6. 6電気化学的補修工法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

    1. 1.脱塩工法は、外部電源によりコンクリート中の塩化物イオンを陽極側へ移動させ除去する
    2. 2.再アルカリ化工法は、中性化したコンクリートのアルカリ性を回復させる
    3. 3.電気防食工法は、鉄筋に防食電流を流し、鉄筋表面をアノードとして保護する
    4. 4.電着工法は、海中コンクリートの表面に析出物を生成させ空隙を充填する
    正解と解説

    正解:3

    電気防食は鉄筋をカソード(陰極)にして防食電流を流す(カソード防食)工法であり、鉄筋をアノードにするという記述は誤り。脱塩は塩化物イオンを陽極側へ排出、再アルカリ化はアルカリ性回復、電着は析出物で緻密化する工法で、いずれも適切である。

  7. 7連続繊維シート補強工法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

    1. 1.炭素繊維シートは引張強度が高いが、弾性係数は鋼材より小さい
    2. 2.アラミド繊維シートは耐衝撃性に優れ、非導電性で電食の懸念が少ない
    3. 3.連続繊維シートは圧縮補強を主目的として柱頂部に貼り付ける
    4. 4.繊維シートは下地の凹凸が大きいほど付着性能が向上する
    正解と解説

    正解:2

    アラミド繊維シートは耐衝撃性に優れ、非導電性のため炭素繊維で懸念される電食(ガルバニック腐食)の心配が少ない。炭素繊維は高強度かつ高弾性で引張補強が主目的、下地は平滑に処理するほど付着が良いため他は不適切。

  8. 8鋼板接着工法と連続繊維シート補強工法の比較に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

    1. 1.連続繊維シート工法は軽量で、現場での取り扱いや施工性に優れる
    2. 2.鋼板接着工法は鋼板の防錆処理や重量支保工が必要となる場合がある
    3. 3.連続繊維シートは曲面や複雑な形状への追従が鋼板より難しい
    4. 4.鋼板接着は、接着樹脂の充填不良により付着不良が生じることがある
    正解と解説

    正解:3

    連続繊維シートは柔軟で曲面や複雑形状への追従性に優れるのが利点であり、鋼板より追従が難しいという記述は誤り。シートは軽量で施工性に優れる一方、鋼板は重く防錆や支保工が必要、接着樹脂の充填不良に注意が必要である。

  9. 9鉄筋コンクリート橋脚の耐震補強を目的とした巻立て補強工法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

    1. 1.巻立て補強は主に曲げ耐力のみを向上させ、じん性には寄与しない
    2. 2.鋼板巻立てでは、鋼板とコンクリート間に無収縮モルタル等を充填する
    3. 3.RC巻立てでは断面が縮小するため死荷重が軽減される
    4. 4.連続繊維巻立ては横拘束効果を持たず、せん断補強には使えない
    正解と解説

    正解:2

    鋼板巻立て補強では、鋼板と既設コンクリートの間隙に無収縮モルタルやエポキシ樹脂を充填して一体化させる。巻立て補強は横拘束効果によりじん性やせん断耐力を向上させ、RC巻立ては断面増加で死荷重が増えるため、他の選択肢は不適切である。

  10. 10外ケーブル工法によるプレストレス補強に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

    1. 1.既設構造物に外部からPC鋼材を配置し、緊張力を導入して補強する
    2. 2.ひび割れの抑制やたわみの低減に効果が期待できる
    3. 3.定着部や偏向部に大きな集中力が作用するため、その部分の補強が必要となる
    4. 4.外ケーブルは部材内部に配置するため、維持管理時の点検や再緊張ができない
    正解と解説

    正解:4

    外ケーブルは部材外部に配置されるため、点検・防錆・再緊張・交換が比較的容易である点が利点であり、点検や再緊張ができないという記述は誤り。定着部・偏向部への集中力対策が必要で、ひび割れ・たわみ低減に効果がある点は適切である。

  11. 11中性化により劣化した鉄筋コンクリートの補修工法の選定に関する記述として、最も適切なものはどれか。

    1. 1.中性化が鉄筋位置まで達していない場合でも、必ず断面修復が必要である
    2. 2.表面被覆や含浸により二酸化炭素の侵入を遮断する対策が有効である
    3. 3.再アルカリ化工法は、塩害が支配的な部材に対して最も適している
    4. 4.中性化対策では、水分の供給を増やすことが腐食抑制に有効である
    正解と解説

    正解:2

    中性化対策では、二酸化炭素の侵入を遮断する表面被覆工法や、アルカリ性回復のための再アルカリ化が有効である。中性化が鉄筋に達していなければ予防保全的に被覆等で対応でき、必ず断面修復が必要とは限らない。水分供給増加は腐食を促進するため不適切。

  12. 12アルカリシリカ反応(ASR)により劣化した構造物の補修・補強に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

    1. 1.ASRの進行抑制には、水分の供給を遮断することが有効である
    2. 2.膨張が継続している段階では、剛な拘束は新たなひび割れを誘発する懸念がある
    3. 3.表面被覆により水分の供給を抑制しつつ、反応生成物の漏出も抑えられる
    4. 4.ASRによる膨張は、リチウム系材料の含浸により必ず完全に停止できる
    正解と解説

    正解:4

    リチウム系材料はASR膨張の抑制に一定の効果が期待されるが、内部まで十分浸透させることが難しく、膨張を必ず完全に停止できるわけではないため選択肢4は誤り。ASRは水分遮断が基本で、膨張継続中の過度な拘束は新たなひび割れの懸念がある。

  13. 13凍害により劣化したコンクリートの補修に関する記述として、最も適切なものはどれか。

    1. 1.凍害対策では、コンクリートを常に湿潤状態に保つことが最も有効である
    2. 2.スケーリングやポップアウトには、防水性・凍結融解抵抗性の高い断面修復材を用いる
    3. 3.凍害は塩化物の供給がなければ進行しないため、塩分除去のみで対策できる
    4. 4.凍害部は健全に見えても内部に微細ひび割れが進行していることがあり、脆弱部除去が重要である
    正解と解説

    正解:4

    凍害部は表面が健全に見えても内部で微細ひび割れ(内部劣化)が進行していることがあり、補修前に脆弱部を確実に除去することが重要である。対策は水分供給の遮断が基本で、湿潤保持は逆効果。塩分がなくても凍結融解で進行するため、塩分除去のみでは不十分。

  14. 14補修材料と母材コンクリートの適合性に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。 (ア)修復材の乾燥収縮が大きいと、界面に剥離やひび割れが生じやすい。 (イ)修復材の弾性係数が母材と大きく異なると、応力集中が生じやすい。 (ウ)修復材の透気・透水性は、母材より高いほど劣化因子を遮断できる。

    1. 1.(ア)正 (イ)正 (ウ)誤
    2. 2.(ア)正 (イ)誤 (ウ)正
    3. 3.(ア)誤 (イ)正 (ウ)正
    4. 4.(ア)誤 (イ)誤 (ウ)誤
    正解と解説

    正解:1

    修復材の乾燥収縮が大きいと界面に剥離・ひび割れが生じやすく(ア正)、弾性係数の差が大きいと荷重時に応力集中が生じやすい(イ正)。劣化因子を遮断するには透気・透水性は母材より低い(緻密な)方がよいため(ウ)は誤り。

  15. 15劣化因子に対する補修の基本的な考え方(除去・遮断・抑制)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

    1. 1.塩害では、塩化物を含むコンクリートの除去(はつり)や脱塩が除去にあたる
    2. 2.表面被覆や含浸による劣化因子の侵入遮断は、遮断の考え方にあたる
    3. 3.電気防食による鉄筋腐食の進行抑制は、抑制の考え方にあたる
    4. 4.劣化因子を遮断すれば、既に内部に存在する塩化物による腐食も完全に停止する
    正解と解説

    正解:4

    表面被覆等で外部からの劣化因子を遮断しても、既にコンクリート内部に存在する塩化物による腐食は進行しうるため、遮断だけで完全に停止するとは限らない(選択肢4が誤り)。はつり・脱塩は除去、被覆・含浸は遮断、電気防食は抑制に相当し、これらの併用が検討される。

  16. 16増厚工法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

    1. 1.上面増厚工法は、床版上面に鋼繊維補強コンクリート等を打ち重ねて補強する
    2. 2.増厚部と既設部の付着を高めるため、既設面は平滑な状態のまま施工する
    3. 3.下面増厚工法では、増厚部の自重を考慮する必要はない
    4. 4.増厚工法は死荷重を増加させないため、活荷重への配慮のみでよい
    正解と解説

    正解:1

    上面増厚工法は、劣化した床版上面を切削後に鋼繊維補強コンクリート等を打ち重ねて耐力を回復・向上させる工法である。付着確保のため既設面は目荒らし(チッピング等)を行い、増厚による死荷重増加を考慮する必要があるため、他の選択肢は不適切である。

  17. 17補修・補強後の再劣化や留意点に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。 (ア)塩害部分を部分的に断面修復すると、マクロセル腐食により周辺が再劣化することがある。 (イ)表面被覆後にひび割れが再発生すると、被覆材の追従性不足で防護機能が低下する。 (ウ)補修は一度行えば、その後の点検やモニタリングは不要となる。

    1. 1.(ア)誤 (イ)正 (ウ)正
    2. 2.(ア)正 (イ)誤 (ウ)誤
    3. 3.(ア)正 (イ)正 (ウ)誤
    4. 4.(ア)正 (イ)正 (ウ)正
    正解と解説

    正解:3

    部分的な断面修復はマクロセル腐食による周辺の再劣化を招くことがあり(ア正)、被覆後のひび割れ再発で追従性が不足すると防護機能が低下する(イ正)。補修後も劣化進行や補修効果の確認のため点検・モニタリングが必要であり(ウ誤)、維持管理の継続が前提となる。

  18. 18脱塩工法(電気化学的脱塩)の適用と留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

    1. 1.脱塩工法では、PC鋼材の水素脆化のおそれがあるため、プレストレストコンクリートへの適用には特に注意を要する
    2. 2.脱塩工法はコンクリート中の塩化物イオン量を増加させて腐食を抑制する工法である
    3. 3.脱塩工法では鉄筋を陽極、外部電極を陰極として通電する
    4. 4.脱塩工法はアルカリ骨材反応性の骨材を含む構造物に無条件で適用してよい
    正解と解説

    正解:1

    脱塩工法は外部電源により鉄筋を陰極、外部仮設電極を陽極として塩化物イオンを陽極側へ移動・排出する工法である。プレストレストコンクリートでは水素発生による鋼材の脆化(水素脆化)のおそれがあり、適用に特に注意を要する。アルカリ骨材反応性骨材を含む場合は鉄筋周囲のアルカリ濃縮が膨張を助長する懸念もある。塩分を増やす工法ではない。

  19. 19流電陽極方式(犠牲陽極方式)の電気防食に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

    1. 1.流電陽極方式は外部電源から直流電流を供給して防食する方式である
    2. 2.流電陽極方式では鉄筋より卑な金属ではなく、鉄筋より貴な金属を陽極に用いる
    3. 3.流電陽極方式は鉄筋より卑な金属を犠牲陽極として接続し、その溶解による電流で鉄筋を防食する
    4. 4.犠牲陽極は消耗しないため、設置後の交換や寿命管理は不要である
    正解と解説

    正解:3

    流電陽極方式は、鉄よりイオン化傾向の大きい亜鉛やアルミ合金等を陽極(犠牲陽極)として鉄筋に接続し、その溶解で生じる防食電流により鉄筋を保護する方式である。外部電源を必要としない点が外部電源方式との違いである。陽極は徐々に消耗するため、交換や寿命管理が必要となる。

  20. 20床版上面の防水工(橋面防水)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

    1. 1.橋面防水は路面からの水や塩化物イオンの床版への浸入を抑制する目的で施工される
    2. 2.防水工にはシート系防水と塗膜系防水などの種類がある
    3. 3.橋面防水は舗装の打換えにあわせて施工されることが多い
    4. 4.床版上面の防水層は水分供給を増やして床版の疲労(土砂化)を促進するため、設けないほうがよい
    正解と解説

    正解:4

    橋面防水は、路面からの水や塩化物イオンの床版への浸入を遮断し、床版の疲労(土砂化・砂利化)や鉄筋腐食を抑制する目的で施工される。シート系・塗膜系などがあり、舗装の打換え時に施工されることが多い。防水層が床版上面の水分供給を増やし疲労を促進するという記述は逆であり誤りである。

※掲載しているのは、公式資料をもとに当サイトが独自作成した模擬問題です(実際の試験問題の転載ではありません)。採点・間違えた問題の自動記録・復習スケジュールまで使うには、下のボタンから演習モードでどうぞ。

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