河川点検士「分析・評価」対策
点検結果の分析と健全度評価のプロセスを扱う分野です。1次評価と総合評価、変状の原因推定・進行性の判断、緊急度・優先度の考え方が問われます。
収録問題数:50問(解説つき)/最終更新:2026年8月
「分析・評価」で実際に問われること
収録している50問から20問を、本番と同じ四肢択一の形で抜粋しました。各問の「正解と解説」を開くと、正解と、解答の根拠になる要点が読めます。
例1点検・評価要領に定める「総合的な評価」の実施単位として、堤防の場合の原則的な単位として最も適切なものはどれか。
- 1.施設ごと(橋梁・樋門・水門の各個別施設)。
- 2.1kmごとの区間を基本とする。
- 3.氾濫ブロック・支派川の分合流点等を考慮して設定した「一連区間」を基本とする。
- 4.都道府県ごとの全管理区間を一括評価する。
▶正解と解説
正解:3
堤防の総合的な評価は「局部的な安全性が一連の堤防全体の安全性を規定する」特性から、氾濫ブロック・支派川の分合流点・山付き箇所などを考慮した「一連区間」を基本単位とします。河川構造物は「施設」単位で評価します。
例2「堤防等河川管理施設及び河道の点検・評価要領」において、応急復旧後の再評価区分として最も適切なものはどれか。
- 1.a(異状なし)として再評価する。
- 2.c(予防保全段階)として再評価する。
- 3.b(要監視段階)として再評価し、継続的な監視が必要とする。
- 4.d(措置段階)のまま変更しない。
▶正解と解説
正解:3
応急復旧は「出水に備えた一時的な機能復旧であり、変状が進行する可能性があるためいずれ本復旧する必要がある」として、b(要監視段階)に再評価されます。本復旧が完了した場合はa(異状なし)に再評価されます。
例3「堤防等河川管理施設及び河道の点検・評価要領」が定める2つの治水上の機能として、最も適切なものはどれか。
- 1.①河道が所要の流下能力を確保していること、②堤防等の河川管理施設が所要の機能を確保していること。
- 2.①洪水の完全な防止、②河川水質の確保。
- 3.①ダムによる洪水調節機能の確保、②低水護岸の保全。
- 4.①河道内樹木の管理、②護岸の美観維持。
▶正解と解説
正解:1
同要領の目的に定める2つの治水上の機能は「①河道が所要の流下能力を確保していること」「②堤防等の河川管理施設が所要の機能を確保していること」です。この2点を確保するための点検・評価方法を定めています。
例4点検・評価要領における堤防の「土堤」の変状種別のうち、「漏水・噴砂」の評価として最も適切なものはどれか。
- 1.漏水・噴砂が確認された場合はb(要監視段階)として経過観察する。
- 2.漏水・噴砂は軽微な変状のためa(異状なし)として記録のみとする。
- 3.漏水・噴砂が確認された場合はd(措置段階)として速やかに対策を実施する。
- 4.漏水・噴砂はc(予防保全段階)として計画的に対策する。
▶正解と解説
正解:3
土堤の「漏水・噴砂」は変状種別[12]として、「漏水・噴砂が確認できる(洪水後に確認された場合含む)」場合はd(措置段階)と評価されます。漏水・噴砂はパイピングの兆候であり、速やかな対策(補修・詳細調査)が必要です。
例5河道の点検・評価の対象として「堤防等河川管理施設及び河道の点検・評価要領」に定めるものとして、最も適切なものはどれか。
- 1.ダム・砂防ダムを含む全河川施設。
- 2.河道内の魚の生息状況と水質。
- 3.土砂堆積・樹木群の繁茂・河床低下・河岸侵食等。
- 4.河川区域内のすべての構造物(橋梁・上水道等含む)。
▶正解と解説
正解:3
河道の点検対象として同要領が定めるのは「土砂堆積、樹木群の繁茂、河床低下、河岸侵食等」です。ダムは対象外であり、魚類・水質は別の管理分野です。
例6点検・評価要領における「詳細点検(調査を含む)」を実施すべき状況として、最も適切なものはどれか。
- 1.すべての点検でまず詳細点検から実施することが定められている。
- 2.詳細点検は5年に1回の割合で定期実施する。
- 3.変状の発生原因が不明な場合や、目視点検の結果だけでは評価が困難な場合、c評価(予防保全段階)等で機能低下状態の再評価が必要な場合。
- 4.詳細点検は国の直轄区間のみで実施し、都道府県管理河川では不要とされている。
▶正解と解説
正解:3
詳細点検(調査含む)は「変状の発生原因が不明な場合」「目視点検だけでは評価困難な場合」「c評価での機能低下状態の再評価が必要な場合」等に実施します。通常の点検は目視を基本とし、必要に応じて詳細点検に移行します。
例7「堤防等河川管理施設及び河道の点検・評価要領」における点検・評価の流れとして、最も適切なものはどれか。
- 1.詳細点検→1次評価→2次評価→総合的な評価の順で実施する。
- 2.総合的な評価→点検→1次評価の順で実施する。
- 3.点検・1次評価→2次評価(組織としての評価)→総合的な評価(一連区間又は施設ごと)の順で実施する。
- 4.2次評価のみで全評価が完結する。
▶正解と解説
正解:3
点検・評価要領のフローは「点検・1次評価(点検者等が変状箇所ごとに機能低下の状態・進行性を評価)」→「2次評価(横断的連絡調整会議等で組織として評価確定)」→「総合的な評価(一連区間・施設ごと)」の順です。
例8「堤防等河川管理施設及び河道の点検・評価要領」において、総合的な評価を実施する頻度として最も適切なものはどれか。
- 1.5年に1回実施することを基本とする。
- 2.変状が発見された場合のみ実施する。
- 3.1年に1回、当該年度の変状箇所ごとの評価が全て終了した後、速やかに実施することを基本とする。
- 4.国の指示があった場合のみ実施する。
▶正解と解説
正解:3
総合的な評価は「1年に1回、当該年度における変状箇所ごとの評価が全て終了した後に速やかに実施することを基本とする」と定められています。また、河川維持管理計画の内容は概ね5年ごとに見直すこととされています。
例9「堤防等河川管理施設及び河道の点検・評価要領」が定める点検・評価の目的として、最も適切なものはどれか。
- 1.施設の老朽化度合いを数値化して、すべての施設の一括更新時期を自動的に決定すること。
- 2.河川利用者の満足度を向上させること。
- 3.変状・変化を発見・観察し、機能状態を評価して、必要な対策実施の前提となる判断を行うこと。
- 4.施設の建設コストを事後的に評価すること。
▶正解と解説
正解:3
同要領の目的は「堤防等河川管理施設及び河道の変状・変化を発見・観察するための方法を示し、点検結果の評価・詳細点検・補修等の適切な対策判断の前提となる変状を発見・観察すること」です。
例10堤防・護岸・構造物ごとの評価単位の違いに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.堤防・護岸・構造物はすべて同一の評価単位で評価する
- 2.堤防は一連区間単位、護岸は連続する区間単位、水門等の構造物は施設単位で評価する場合がある
- 3.護岸は堤防全体として一体的に評価し、区間を細分化してはならない
- 4.構造物(水門・樋門等)の評価は堤防評価の一部に組み込まれ、独立した評価は行わない
▶正解と解説
正解:2
河川点検では評価対象ごとに適切な評価単位が設定される。堤防は一連区間単位で総合評価を行い、護岸は護岸の連続する区間や施工単位、水門・樋門等の構造物は施設単位で評価することが基本とされる。
例112次評価(組織評価)の意味に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.2次評価とは、点検担当者が行う現地評価のことをいう
- 2.2次評価とは、点検担当者の評価を受けて、上位組織または専門技術者が行うレビュー・確認評価をいう
- 3.2次評価は点検の翌日に必ず実施しなければならない
- 4.2次評価は民間業者のみが実施でき、河川管理者は関与できない
▶正解と解説
正解:2
2次評価(組織評価)とは、現地点検担当者が行った1次評価(現地評価)に対して、上位組織や専門技術者等がその妥当性を確認・レビューする評価プロセスをいう。重大な変状や判断が難しいケースについて、組織的に評価の精度を高める目的がある。
例12変状の進行性の判断に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 1.過去の点検記録と現状を比較することで、変状の進行性を判断できる
- 2.同一箇所を複数回点検し、変状の拡大・悪化の傾向を確認することが重要である
- 3.変状の進行性は評価区分の設定において考慮すべき重要な要素である
- 4.変状の進行性は初回点検時のみ判断するため、継続的なモニタリングは不要である
▶正解と解説
正解:4
変状の進行性の判断には、過去の点検記録との比較による経年変化の把握が不可欠であり、一度の点検のみで完結するものではない。継続的なモニタリングと記録の蓄積によって進行性を的確に判断し、補修時期・方法の選定に活用することが重要である。
例13詳細点検(ボーリング・探査等)の活用場面として、最も適切なものはどれか。
- 1.詳細点検はすべての堤防区間で毎年実施することが義務付けられている
- 2.詳細点検は、目視等の通常点検で変状が確認され、堤体内部の状況や変状の原因の特定が必要と判断された場合に実施される
- 3.詳細点検は堤防の新設時にのみ適用され、既設堤防には適用しない
- 4.詳細点検は変状の有無に関わらず5年ごとに全区間で実施する
▶正解と解説
正解:2
ボーリング・地中レーダー探査・サウンディング等の詳細点検は、通常の目視点検等では判断できない変状(内部の空洞・浸透部等)の存在が疑われる場合や、変状の原因を特定する必要がある場合に実施される。全区間を一律に毎年実施するものではなく、必要性に応じて適用する。
例14点検・評価要領における評価区分の( )に当てはまる組み合わせとして、最も適切なものはどれか。 「( a )は堤防等河川管理施設の機能に支障が生じており補修が必要な状態、( b )は変状があり進行する可能性はあるが機能に支障は生じていない状態を示す。」
- 1.( a )=c評価、( b )=b評価
- 2.( a )=b評価、( b )=c評価
- 3.( a )=d評価、( b )=b評価
- 4.( a )=d評価、( b )=c評価
▶正解と解説
正解:3
評価区分4段階のうち、機能に支障が生じており補修が必要な状態はd評価(措置段階)、変状が確認され進行する可能性はあるが機能に支障は生じていない状態はb評価(要監視段階)である。c評価は変状があるが予防保全の観点から計画的に対策する段階、a評価は変状がない良好な状態を示す。
例15応急復旧後の再評価に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.応急復旧を実施した箇所は変状が解消されたとみなし、直ちにa評価とする
- 2.応急復旧を実施した箇所は、本復旧が完了するまでの間b評価として管理する
- 3.応急復旧を実施した箇所の再評価は不要であり、次回定期点検まで評価は変更しない
- 4.応急復旧後はd評価からa評価に変更し、補修完了として記録する
▶正解と解説
正解:2
応急復旧は堤防機能の緊急的な回復を目的とするものであり、本復旧(恒久的な補修)が完了するまでは変状が残存しているとみなしてb評価として管理する。本復旧完了後に再点検を行い、変状の解消が確認された場合に評価区分を適切に変更する。
例16変状箇所ごとに行う1次評価と、施設を単位として行う2次評価(総合的な評価)の役割分担として最も適切なものはどれか。
- 1.1次評価で施設全体の健全度ランクを確定し、2次評価では補修費用のみを算定する
- 2.1次評価は個々の変状の程度や進行性を評価し、2次評価は同一施設内の複数変状を踏まえ施設としての状態を総合的に評価する
- 3.1次評価と2次評価はいずれも変状箇所単位で行い、評価範囲に違いはない
- 4.2次評価は現地で点検者が行い、1次評価は事務所で机上のみで行う
▶正解と解説
正解:2
1次評価は変状箇所ごとにその程度や進行性に着目して行う評価であり、2次評価(総合的な評価)は同一施設内に複数存在する変状の1次評価結果を踏まえ、施設を単位として総合的に状態を評価するものである。両者は対象範囲が異なり、段階的に評価が積み上げられる。
例17堤防の変状の原因推定に関する記述として最も不適切なものはどれか。
- 1.亀裂やはらみ出しは、降雨・出水等の外力や基礎地盤の問題が原因として推定される
- 2.表面の風化やコンクリートの中性化は、主に経年劣化が原因として推定される
- 3.変状の原因推定には、施工時の締固め不足など施工不良の可能性も含めて検討する
- 4.変状の原因は外観のみから一義的に確定できるため、過去の施工記録や被災履歴を参照する必要はない
▶正解と解説
正解:4
変状の原因は外力、経年劣化、施工不良など複数が考えられ、外観だけで一義的に確定することは難しい。過去の施工記録や被災履歴、出水状況等の情報を併せて検討し、原因を推定することが適切な評価につながる。
例18点検結果の経年変化・進行性のトレンド分析に関する記述として最も適切なものはどれか。
- 1.毎回の点検結果は独立して扱い、過去の記録と比較してはならない
- 2.過去の点検データと比較し、変状の拡大速度や進行傾向を把握して評価に反映させる
- 3.進行性の有無にかかわらず、すべての変状を一律に同じ緊急度で扱う
- 4.トレンド分析は定量データのみで行い、写真等の定性的記録は用いない
▶正解と解説
正解:2
進行性の判断には、過去の点検データとの比較が不可欠であり、変状寸法の経年変化や拡大速度のトレンドを把握することで、進行性の有無や緊急度を適切に評価できる。写真等の定性的記録も比較に有効に活用する。
例19対策の緊急度・優先度を判定する際の考え方として最も不適切なものはどれか。
- 1.変状の程度が同等でも、進行性が認められる箇所は優先度を高く判断する
- 2.背後地に人口・資産が集中するなど重要度の高い区間は、優先度を高く判断する
- 3.治水機能への影響が大きい変状は、優先度を高く判断する
- 4.変状の発見順(点検した順番)に従って機械的に優先度を決定する
▶正解と解説
正解:4
緊急度・優先度は、変状の程度や進行性、治水機能への影響度、背後地の重要度などを総合的に勘案して判断するものであり、単に発見順で機械的に決めるものではない。リスクの大小に応じた優先順位付けが求められる。
例20健全度の総合的な判断において考慮すべき事項として最も適切なものはどれか。
- 1.最も軽微な変状一つだけを根拠に施設全体の健全度を決定する
- 2.施設内の複数の変状の程度・進行性に加え、治水機能への影響を総合的に勘案して判断する
- 3.健全度は変状の個数のみで自動的に決まる
- 4.背後地の状況は健全度の判断と無関係なので考慮しない
▶正解と解説
正解:2
施設の健全度の総合的判断は、施設内に存在する複数の変状の程度や進行性、それらが治水機能に及ぼす影響を総合的に勘案して行う。単一の変状や変状の個数のみで一律に決まるものではない。
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